<引用開始>
会社員の女性(39)は「原発ゼロになると誰が困るのか」と質問。鈴木達治郎・原子力委員会委員長代理は「電力会社と立地自治体、原発メーカー」と答え、辰巳菊子・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事は「原発を推進してきた側」と述べた。
<引用終了>
http://mainichi.jp/select/news/20120813k0000m040111000c.html
私は脱原発論者ですが、近視眼的にこの問題を考えることこそ国益に反することはないと考えます。以前に30年かけて公務員を限りなくゼロにするシナリオを提示したいと記しましたが、原発問題も公務員問題と同じです。
鉄則を示したいと思います。それは「自分たちの仕事がなくなるとなると、人間は死にものぐるいで抵抗するのであり、働く人間を脅かさない方法を考案しないで身を切らせることなどあり得ない」というものです。
電力会社も官僚も知っているのです。「悪いのは官僚組織」であることを。そのことを念頭に「原発がゼロになると誰が困るのか」という質問に答えなくてはなりません。
私は、福島第二原子力発電所と四国電力伊方原子力発電所を訪れていますが、若い人を含めたくさんの人が真面目に働いていることを知っています。
私たちは、原子力発電事業という産業と原子力発電所という装置をつくってきてしまったのです。それ自体は決して間違っていたとは考えません。「ポンコツのアメ車を無免許運転していたようなもの」であり、福島第一原子力発電所の運転や安全管理に関わってきた人間に問題があるのです。もちろん、今でもです。
「原発ゼロになると誰が困るのか」とは反対に、「原発ゼロになると誰が喜ぶのか」も考えなくてはなりません。
選択より
「主犯GE」フクシマの罪 米政府を後ろ盾に傍若無人
<引用開始>
全面協力とは表向きの説明に過ぎず、実態はただの商談だった。「イメルト会長が言ったのは、言い換えれば収束ビジネスをほかの国の企業に渡すなということ。廃炉、放射性廃棄物処分まで含めれば事業規模は数兆円になると知った上での訪問だった」(経産省関係者)。この訪問には、GE側に責任が生じないことを確認する目的もあったとされる。
イメルト会長はこの訪日で東電経営陣とも会談したが、これもまた重要な商談の要素をはらんでいた。東電は福島第一、福島第二の両原発を失ったため、夏に向けた応急処置として火力発電用タービンを掻き集めざるを得なかった。このタービンの中に、GE製のものが多く含まれているのだ。「GE側はタービンを有償で、こともあろうにいつもの五割増の値段をふっかけてきた。協力なんて名ばかりで、ただの火事場泥棒だ」と東電幹部は憤る。
<引用終了>
http://www.sentaku.co.jp/category/economies/post-1724.php
原子力発電所内外で働く人には家族や将来があります。スリーマイル島事故後、新規建設と福島第一原子力発電所の安全管理を放棄したアメリカと同じ間違いを犯してはなりません。
私は、最大限の安全管理を徹底した上で原発は当面フル稼働させ、その電力で自然エネルギーを生み出していくことこそがベストの選択であると考えています。オリンピックではありませんが、日本は再利用可能エネルギー開発技術の分野では世界一です。確かに責任を取らない官僚や東電経営陣を許せない気持ちは理解できますが、この国に暮らすすべての人びとやビジネスマンにとって、将来的に電気代を限りなく無料に近づけていく方向に舵を切るほうが、はるかに実益は高まります。
10年以上かかるでしょうが、原子力発電所で働く人が、再生可能エネルギーを生み出す技術者に生まれ変わっていく姿が目に浮かびます。伊方原子力発電所は愛媛県ですが、四国はそのほとんどが森林です。この膨大なエネルギー資源を開発すれば、四国地域は一番先に脱原発が可能になることでしょう。
そのための知恵を結集することこそが、政治家に求められるものと私は考えます。
結論です。「原発ゼロで困る人」は「将来の私たち」なのです。