100円ショップなどで売られたシリコーンゴム製の調理用品や乳児用おしゃぶりの一部から、化学物質のホルムアルデヒドが溶け出していたことが、東京都豊島区の調査でわかった。ホルムアルデヒドは発がん性が指摘され、調理用品や食器から検出されてはならないと食品衛生法などで定められている。
豊島区生活産業課は「濃度を調べていないので、危険と断定はできないが、問題提起で公表した。しかるべき機関で早急に分析してほしい」と言う。
豊島区消費生活センターが昨年度の商品テスト結果を公表した。昨年5月と9月、区内の100円ショップなどで、電子レンジ用蒸し器やオーブン用ケーキ型、乳児用おしゃぶりなどシリコーンゴム製品24点を購入して調べたところ、調理用品20点と乳児用おしゃぶり2点の計22点で、ホルムアルデヒドの溶出を示す試薬の反応があったという。
22点のうち21点は中国製。日本製おしゃぶり1点からも検出された。いずれも100〜300円という。シリコーンゴム製の調理用品は、レンジやオーブンで使えるのが特徴で、ここ数年、人気となっている。
ホルムアルデヒドは、合成樹脂の原料や農薬などに広く使われ、35〜37%水溶液はホルマリンとして知られている。アレルギーなどを引き起こすシックハウス症候群の原因物質の一つでもある。食品衛生法では、食器やおしゃぶりからの溶出は「陰性」(検出限界未満の値)でなくてはならないと定められている。
シリコーンゴム製品は加工の際、弾力や強度を高めるため添加剤を加えており、検出した22点は、その中の物質が加工の際の熱でホルムアルデヒドに変化したとみられる。ゴム製品に含まれている場合は、使い始める前に5分程度煮沸しておくと、後で溶け出す量が減るとされる。
慶応大学理工学部の田中茂教授(環境化学)は「簡易なテストだが、調査方法は適切。専門機関が濃度などを詳しく調べるべきだ」と話す。(本山秀樹)