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NHK ロンドン 2012 オリンピック

ロンドン五輪 現地リポート

史上最多のメダルと今後の課題

8月13日 12時25分

松井友宏記者

連日のメダルラッシュにわいたロンドンオリンピックが12日、閉幕しました。
日本選手団が獲得したメダルは合わせて38個と史上最多となりました。
大会を通しての収穫と4年後に向けた課題をオリンピック取材班の松井友宏記者が解説します。

メダル量産の日本選手団

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ロンドンオリンピックで、日本は、最終日の12日にレスリング男子フリースタイル66キロ級の米満達弘選手が金メダルを獲得しました。
これで獲得したメダルは、金メダルが7個、銀メダルが14個、銅メダルが17個の合わせて38個となり、2004年のアテネ大会を上回り、史上最多となりました。
今回は、参加した24競技のうち半数以上の13競技でメダルを獲得しました。
特徴は、これまで実績のなかった競技の躍進です。

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バドミントンでは、女子ダブルスの藤井瑞希選手と垣岩令佳選手のペアが銀メダルを獲得。
卓球は福原愛選手などが出場した女子団体で銀メダルを獲得しました。
どちらの競技も初めてのメダル獲得でした。
さらにバレーボール女子とウエイトリフティングは28年ぶり、ボクシングは男子ミドル級の村田諒太選手が1964年の東京大会以来の金メダルを獲得するなど初めて2つのメダルを獲得しました。

練習環境の充実で大きく躍進

なぜメダルが量産できたのか。
JOC=日本オリンピック委員会では、最も大きな要因として「ナショナルトレーニングセンター」の効果をあげました。

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「ナショナルトレーニングセンター」は、オリンピックを目指すアスリートなどが練習に専念できる環境を整えようと2008年1月に完成しました。
オリンピックまでの4年間をフル活用して臨んだのはロンドン大会が初めてでした。
施設には、合わせて12の競技の専用練習場が設けられているほか、宿泊施設やレストランなども整えられ、各競技団体が強化合宿を組んできました。
例えば、バドミントンは2か月に1回のペースでナショナルチームの強化合宿を行ってきました。
前回の北京大会では、女子ダブルスの3位決定戦で末綱聡子選手と前田美順選手が敗退して4位となり、あと一歩のところでメダルに手が届かなかっただけにこうした環境があったからこそ悲願のメダルを獲得できたと、競技団体の関係者もその効果を認めています。
さらに、この大会では現地でのサポートもメダルラッシュを後押ししました。
「マルチサポートハウス」と名付けられた、選手を食事や体調管理の面でサポートする拠点を選手村の近くにつくり、ナショナルトレーニングセンターなど日本の強化拠点と同じようなサービスを受けられる環境を整えました。
特に食事が好評でおいしい和食が食べられると選手の評判は上々でした。
5億4000万円という費用の大きさに懐疑的な見方もありましたが、十分な役割を果たしたといえます。

金メダルは目標に届かず

その一方で、金メダルの数は7個。
15個以上を獲得するという目標を達成できなかったばかりか、前回、北京大会の9個にも届きませんでした。
アジアの中でも、中国38個、韓国13個に続いて3番目でした。
レスリング女子は、前評判どおりの活躍で4つの階級のうち、3つの階級で金メダルを獲得しました。

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しかし、7個から8個のメダル獲得を期待していた「お家芸」の柔道は歴史的な惨敗。
男子は、オリンピックで初めて金メダル無しに終わりました。
女子も57キロ級の松本薫選手の1つだけで、福見友子選手や中村美里選手など金メダルを狙った選手が次々と敗れました。
また、競泳も戦後最多のメダルを獲得したものの金メダルはゼロ。
注目の北島康介選手も、個人種目でメダル無しに終わりました。
日本選手団の団長を務めたJOC=日本オリンピック委員会の上村春樹強化本部長は、「目標に達しなかったことは真摯(しんし)に受け止めなければいけない」と話したうえで、「金メダルを目指したからこそ史上最多のメダルを獲得できた。今後も金にこだわりたい。世界各国の強化は私たちが考えている以上に進んでいる。負けない選手づくりを進めていきたい」と大会を振り返りました。

次こそは金メダルを

今後の課題は明確です。
それは、今回、目標に届かなかった金メダルの数を増やすことです。
ロンドンオリンピックに向けては選手強化の予算が大幅に増え、さまざまなサポートが試されました。
その効果が、史上最多のメダルという結果に現れました。
今後は、JOCと競技団体さらに国も連携して、充実した施設を拠点に、絶対的なエースを育てる計画を立てていくことが、リオデジャネイロで開かれる4年後のオリンピックの課題になります。

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