ロンドン五輪から帰国した、サッカー男子日本代表の(右から)吉田、徳永、永井ら=成田空港で(北田美和子撮影)
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ロンドン五輪で44年ぶりの4強入りを果たしたサッカーの男子日本代表が12日、一部の海外組を除き、成田着の航空機で帰国した。主将を務めたDF吉田麻也(23)=VVVフェンロ=はメンバーに「胸を張って帰ろう」と最後の訓示を垂れ、15日に行われるA代表のキリンチャレンジカップ、ベネズエラ戦(札幌)に向け、早くも気持ちを切り替えた。
成田空港へ帰国した吉田は主将として最後の号令をかけた。「解散するまでが五輪代表。公私ともに言動が評価される。ベスト4のチームらしく胸を張って帰ろう」。空港に集まった500人のファンからは「お疲れさま」の温かい声がかかり、うれしさとメダルを持ち帰れなかった申し訳なさが入り交じった。笑顔はなかったが、まっすぐ前を向いて人垣の中、チームの先頭を歩いた。
A代表ではいじられ役の弟分が、オーバーエージ(OA)枠の五輪代表では名古屋ユース以来の主将を務めた。「言葉で言うよりピッチで存在感を見せることが一番の近道。練習から存在感を見せよう」と、ピッチでは妥協を許さない姿勢を貫いた。特にセンターバックでコンビを組んだDF鈴木には、試合中に厳しい要求もした。
チームをまとめる役割を担い、1次リーグ初戦のスペイン戦の勝利では手応えを感じた。上のラウンドへ進むにつれて力不足も痛感した。ただ今大会では、今までの自分に足りなかった経験を積むことができた。
銅メダルの懸かった3位決定戦は宿敵・韓国に完敗。失点シーンはホテルに帰っても帰国する機内でも頭に浮かんで離れなかった。「この悔しさをバネにやっていくしかない」と気持ちは切り替えた。ただ韓国とはこの先もずっとアジアのライバルとして戦っていく。「もう2度と負けたくない。今後韓国と戦うときは常によみがえる」。敗戦の記憶をあえて胸に刻みつけた。
1次リーグから3位決定戦までの全6試合にフル出場。それでも休んでいるわけにはいかない。「五輪で戦っていたことは関係ない。代表のDFラインは3人も欠けている。心も体も準備します」。帰国直後となる15日のベネズエラ戦では、五輪で成長を遂げた姿を見せつける。 (伊東朋子)
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