村田「金」に世界王者も興奮、山中「メダルかけさせて」…ボクシング

ブラジルのファルカン（右）を破り、喜ぶ村田（共同）

　◆ロンドン五輪ボクシング▽男子ミドル級決勝（１１日・エクセル）　男子ミドル級決勝で、昨年の世界選手権銀メダリスト、村田諒太（２６）＝東洋大職＝が、１９６４年東京五輪バンタム級の桜井孝雄（故人）以来、４８年ぶり２人目の金メダルに輝いた。１回、エスキバ・ファルカン（２２）＝ブラジル＝に接近戦で優位に立ち、５―３とリード。２回以降は苦戦したが、１４―１３で逃げ切った。初出場の五輪で、長く日本人では不可能とされてきた中量級の頂点に立った。

　村田の偉業にプロの世界王者から祝福の声が上がった。母校、南京都高の３学年上の先輩でＷＢＣ世界バンタム級王者の山中慎介（２９）＝帝拳＝は都内の自宅でテレビ観戦。「相手が強くてドキドキしながら見ていた。ボディーブローを効かせ、最後は相手を弱らせる戦いを決勝でもできていた」と喜んだ。

　山中は昨年１１月、同校ＯＢで初めてプロの世界王者となった。「村田に金メダルをかじらせてもらいます」とニヤリ。２年前に亡くなったボクシング部顧問だった武元前川（まえかわ）さん（享年５０歳）は共通の恩師で「武元先生も喜んでいることでしょう」としみじみ語った。

　五輪前にジムに練習に来た村田にボディーブローのコツを教えたＷＢＡ世界スーパーフェザー級王者・内山高志（３２）＝ワタナベ＝は「村田は本当にタフネス。五輪での勝ちっぷりもすごかった」と絶賛した。

　アマチュア時代の０３年に全日本選手権で初対面した際、２連覇中の内山が会場で組み合わせ表を見ていると、高校３年だった村田から「内山さん、今回も楽勝で優勝っすね」と話しかけられたという。「普通は高校生が社会人に声をかけない。面白いヤツで、あいつの心臓の大きさを象徴している」と村田の“やんちゃ”ぶりを懐かしんだ。「村田が帰国したら金メダルと僕のチャンピオンベルトと記念写真を撮らせてもらいます」と笑いが絶えなかった。

　井岡一翔（ＷＢＡ世界ミニマム級王者）「感動しましたし、すご過ぎる。（番狂わせなど）大荒れのロンドンで、日本人特有の粘り強さを見せて勝ち抜き、日本中に夢を与えてくれました」

　長谷川穂積（元ＷＢＣ世界バンタム、フェザー級王者）「プロでいえば、世界王座獲得どころか具志堅用高さんの連続防衛１３回を超えるくらいすごいこと。プロ入りでも、リオ五輪挑戦でも楽しみ」