ロンドン五輪で44年ぶりの4強入りを果たしたサッカーの男子日本代表が12日、一部の海外組を除き、成田着の航空機で帰国した。驚異的なスピードで世界を驚かせたFW永井謙佑(23)=名古屋グランパス=は次なる目標に2016年のブラジルワールドカップ(W杯)出場を掲げた。また、主将を務めたDF吉田麻也(23)=VVVフェンロ=はメンバーに「胸を張って帰ろう」と最後の訓示を行い、15日に行われるA代表のキリンチャレンジカップ、ベネズエラ戦(札幌ドーム)に向け、早くも気持ちを切り替えた。
久しぶりに日本の土を踏んだ永井の表情はスッキリとしていた。五輪ではメダルこそ惜しくも逃したものの、予選リーグでは強豪スペインを撃破。永井も圧倒的なスピードで大会2得点を挙げた。「レベルは高かったけど、スピードは通用するという手応え、自信を得られた。いい刺激になりました」。ロンドンの地に確かな足跡を残した。
納得のパフォーマンスでU−23代表を卒業した今、次なるターゲットは決まっている。A代表定着、そしてW杯出場だ。永井は「まずはグランパスでポジション争いに勝つこと」と前置きしつつ、「A代表しか世界で戦えるところはない。W杯? 結果を出し続ければチャンスはめぐってくる」と意欲を語った。少年時代を過ごしたブラジルへの凱旋(がいせん)が夢だ。
日本代表のレベルも上がっている。五輪で活躍したからといって、A代表入りが保証されているわけではない。日本代表のザッケローニ監督は「U−23とA代表のシステムは違う。彼とは異なったタイプのFWを採用している」として、15日のキリンチャレンジカップ・ベネズエラ戦のメンバーに永井を選ばなかった。代表入りにはアピールが必要だ。
「五輪では連戦で疲労がたまって運動量が落ちた。一から体をつくり直したい」と永井。スピードスターの新たなチャレンジが幕を開ける。 (木村尚公)
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