ELEKIT TU-879S

ELEKIT TU-879S をゲット!

ELEKIT TU-879S をアキバの コイズミ無線 で税込36,000円で購入しました。 定価は税込44,940円です。 本格的な真空管パワーアンプのキットです。 パワーアンプですがゲインは十分あるので、CD プレーヤなどと直結して使うことが可能です。

少し前に Triode VP-Head KIT を組み立てて聴いてみたところ、懐かしい真空管独特の良音が出たので、もう少し本格的な真空管アンプが欲しくなっての導入です。

ヤフオクを見るとサードパーティが製作した完成品は税込5万円程度で出品されています。 組立に自信のない方は、この完成品を買うのもありかなと思います。 プリント基板を使用しているので、マトモに作れば再現性が高いのですが、ハンダ付けや配線処理の技量で性能に差が出ると思います。

Tube Data Sheet Locator という真空管データベースサイトがありました。

  1. 真空管には100年以上の長い歴史があります。 3極管の発明は1906年、初の真空管アンプ生産は1917年、名球 300B の登場は1938年でした。

  2. 昔(10〜30年前)は世界的な球不足で、当時希少だった 300B の球1本で20万円とか、とても高価で真空管アンプを購入できなかったです。 ところが、ここ5年くらいでしょうか、ロシアとか中国、東欧で互換球を大量生産するようになって球の値段が大きく下がりました。 現在では若干ダブつき気味となっているほどです。 まさに今が真空管アンプの旬 かもしれません。

  3. キットで3万6千円、完成品で5万円なら、一度は真空管アンプを使ってみたい要望のある方にもリーズナブルな価格と思います。 むしろ、6L6 使用の本格的な真空管パワーアンプなので(私の感覚では)安いと思います。

  4. 回路的には理想的な自己バイアスA級シングル構成ですから、バイアスの調整も不要で、B級やAB級プッシュ・プルのようなクロスオーバー歪も出ません。 トランジスタアンプは調整しないと良い音が出ませんが、シングル駆動のA級真空管アンプは無調整でも良質の音が出やすいです。 アマチュア向きです。

  5. 私が真空管アンプを自作していたのは、もう大昔のことです。

  6. 真空管はアキバでも買えますが、楽器店やオーディオ店、 サウンドハウス のような楽器・スタジオ機器通販会社 (カテゴリは [ギター>ギターアンプ>真空管] です。) でも買えます。 これはギターアンプにはいまだに真空管を使っているものが多い、むしろ真空管ギターアンプが好まれるためです。 サウンドハウスの真空管の価格はリーズナブルです。 アキバのようなオーディオ専門店での価格はオーディオ値段(オーディオ信仰者には高い値段のものほど売れる傾向がある。)なので高いです。



TU-879 シリーズの変遷 ・・・ (注)2008年11月時点での情報です。



回路図のチェック

  1. 片チャンネルあたり「12AX7A の3極管で電圧増幅+6L6GC の5極管で電力増幅」の標準的な構成です。 右の回路図をクリックすると原寸の jpg ファイルが開きます。

  2. 6L6GC プレート電圧は 325V 程度です。

  3. 6L6GC は自己バイアス方式となっており、これゆえに EL34 (6CA7), KT66, KT88, 6550, 6GB8 にそのまま差し替えが可能です。

  4. +B 電圧には、MOS FET による電源リップルフィルタが実装されています。 12AX7A のヒータは直流駆動しています。 これらにより、ハム音ノイズを低減しています。

  5. トランジスタアンプでは回路のゲインを大きくとり 大量の NFB をかけることで特性を補正する設計としますが、真空管アンプでは少ない増幅段数で必要最小限のゲインとし NFB も僅かとします。



キットのチェック

  1. 以下の写真はキットの内容です。 これらのパーツを組み立てることになります。



  2. 以上のパーツはこのような箱に入って販売されています

  3. 真空管 6L6GC はロシアの Electro-Harmonix 社製です。 12AX7A は中国の Classic Components 社製です。

  4. 作りが良いです

  5. 丁寧に解説された「組立説明書」が付属しています。 これをちゃんと見て作れば、ハンダ付けに慣れた方なら半日〜1日で組立完了できます。



組み立てました

  1. 以下の写真は、組立風景です。 丁寧な組立説明書のおかげで、特に悩むようなことはありませんでした。



  2. かなり練り上げられたキットです

  3. ノウハウ伝授

  4. 改造分も一緒に組み込みました

  5. 全部組み上がりましたが、若干のパーツが余りました。 このキットでは FUSE は 100% 予備、ワイヤ類とネジ類では1本以上のスペアがセットされているようです。 親切ですね。

  6. 完成! ・・・ 動作チェック

    1. 電源コンセントを差し込む前に、AC100V の配線が合っているか、シャーシへの漏電がないかテスターでチェックします。 OKなら電源投入します。

    2. しばらくして真空管のヒータが柔らかい橙色に輝きました。 OKです。

    3. 入力に FM チューナーを、出力にスピーカをつなぎました。

    4. 見事!音が出て完全動作しました・・・パチパチパチ!!!

  7. この TU-879S は自己バイアス方式のA級シングル動作なので、特に調整する箇所はありません。



使ってみました

  1. 右の写真は部屋を真っ暗にして、真空管のヒータの明かりだけの撮影です。

  2. トランスを3個も搭載し、ケースは鉄板なので、ズッシリとした重さがあります。

  3. ケースの内部には更にシールドケースがあるという特殊な構造で、剛性があります。 このシールドケース採用で更に重くなっていますが、組み立て易くなっています。 市販の完成品トランジスタアンプより、ずっと良い構造です。

  4. 真空管方式なので、電源 ON しても音が出始めるのに15秒程度かかります。 また、電源 OFF しても4秒程度は音が出ています。

  5. 正面・背面・側面です

  6. リアパネルです

  7. 私は真空管崇拝者ではないのですが、この音には魅力を感じます。 BGM 用途としては最高かも・・・

  8. それにしても、 70W も電力消費して、ほんの数 W の出力でオーディオを楽しむというのは、贅沢ですよね!!!



検聴で使用した音楽 CD

  1. Bruno Walter ・・・ Brahms: Concerto in a Minar for Violin, Cello and Orchestra, OP.102 "Double"



  2. The Modern Jazz Quartet



  3. 中島みゆき ・・・ 私の声が聞こえますか



  4. セリーヌ・ディオン ・・・ My heart will go on (私の心は生き続ける)



  5. ビリー・ジョエル ・・・ ストレンジャー



特性実測



仕様