クローズアップ2012:消費増税法成立 重荷次々、暮らし直撃
毎日新聞 2012年08月11日 東京朝刊
消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革で、われわれの暮らしはどう変わるのか。増税や社会保障における負担が増えるだけで、年金制度など将来への不安が解消されないままなら、消費者の財布のひもは固くなるばかりで、景気への影響が心配だ。また、増税を見越した歳出拡大を求める動きさえあり、先進国で最悪の水準にある日本の財政の健全化の道筋は、まだはっきりと見えてこないのが現状だ。【永井大介、工藤昭久】
◆年収500万円の家庭、年30万円負担増
◇不安感、消費に冷や水
「夫の小遣いを減らして、それでも足りなければ、将来のための月々の貯蓄を減らすしかない」。川崎市に住む30歳代の主婦は心配する。金融機関勤務の夫の年収は約800万円で、月々の支出は住宅ローンと合わせて34万円程度。現在、家計にかかる消費税は月額1万2000円だが10%になれば2万4000円に倍増する。社会保険料などの負担も今後増える。安売りのスーパーでまとめ買いするなど、食費は3歳の長女と3人で3万円程度に抑えているが、残り物を使った献立など工夫はもう限界だ。年金などへの不安もあり貯蓄もしているが、負担が増えればそれも難しくなりそうだ。