(cache) 仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」
 




 

一番の問題は「正義心」がなくなっていること


愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  

仙波  だけど県警は、僕が記者会見や裁判で主張したことを「ウソだ」と言い切ることもできませんよ。
 県警側は、配転当時の生活安全部長でその後退職した人物を証人に呼んだが、彼は私の弁護士に「仙波さんの言っていることはウソですか」と聞かれて、「ウソだと思う」と答えました。
 すると、弁護士はすかさず、「ウソであるのであれば、信用失墜行為で仙波さんを処分していなければなりませんね。処分しましたか?」と問い返したんです。すると彼は、「いえ、今はまだ処分はしていません」というので、「今はないということは、将来あるのか」とたたみ掛けると、「将来もありません」と答えたんです、裁判の尋問の中で。

運営者 (笑) じゃ、仙波さんが言ってることは、ウソじゃないと認めたことになるじゃないですか。
 ところで仙波さんはこの一連の問題を振り返ってみて、県警の体制として一番問題なことは一体何だと思われますか。

仙波  これは、だれが考えても、正義心がなくなってることですよ。それが一番大切なことです。警察に正義がないんです。
 正義があれば、私がやったことは、何の問題にもならなかった。

運営者 そうしますと、警察官になって仕事をする動機が、「正義を貫く」ということでないのなら、いったい何のための警察だということになるんでしょうか? なんなんだと思うのですが。

仙波  最初は正義が動機で警察に入ってるんです。若い警察官は皆そうですよ。ところが、警察学校生活を終わった瞬間に、それがなくなっていくんです。

運営者 丸山真男は「既成事実への屈服」という言い方をしています。

仙波  その通りですね。

運営者 学校を出て配属されて間もなく、その配属された署のやり方に染まり、警察一家の利害関係の中にからめ取られていてしまうということですか。

仙波  それに対して反抗するとどうなるかみんな知ってますからね。疎外されて・・・うちの会社(県警)はね、みんな外に友達もいないんですよ。そして実は部内でもお友だちはいないんです。その時自分に利害関係がある人とだけ付き合うけれど、転属したら、もう付き合いはなくなってしまうところがあるんですね。
 退職すると警友会という親睦団体があって、普通そこに入るんですが、会長は県警本部の部長経験者、署長で辞めたら理事とか、交番のお巡りさんで辞めたら単なる会員とか、辞めた時の肩書きそのままの親睦会なんですね。会計監査は、当然、会計課出身の人がやるとかね。

運営者 つまらない付き合いですねえ。

仙波  その警友会の会長にこの前県警本部でばったり会ったら、「なんでお前は記者会見のようなことをしたんだ。俺が現役でおったら、お前を許さんぞ」というんですよ。
 だから言ってやったんですよ。「許さんというのは、警察の犯罪を暴いた私を許さないのか、それとも警察の犯罪を許さないのか、どっちなんですか」。
 そしたらなんかモゴモゴ、わけのわからないことをいって言葉を濁すので、「もうええでしょう。裏金のことを、あなたも世間に公表して、さっぱりしましょうや」と追い討ちをかけたら、「わしゃ、用事ができたけん」といって逃げるように、行ってしまいましたね。

運営者 (笑) 恥ずかしくないんですかねえ。警察の犯罪は許せても、仙波さんは許せないというのは、根本的にまちがっているでしょう。理解不能な世界ですね。

 

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