(cache) 仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」
 




 

県警は税金で尾行をつけてきた


愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  

仙波  そういう感じで上司も僕のことを呼び捨てにはできないのですが、一人だけそれができる上司がいたんです。彼は僕らのセクションの責任者であった当時の課長でした。
 彼が告発1週間前の1月13日に、「ちょっと飯でも食おうや」といって来たんです。「いや課長、ちょっと仕事中ですけん」と言ったら、「わしが構わん言うたら構わんやろう」と、僕を食事に誘い出した。
 それでエビカレーをおごってもらったのですが・・・。

運営者 それはおごりじゃないですよ。裏金から出てるんですよ。

仙波  今思うと、そうなんでしょうね。で、彼は「お前、なんぞ捜査費の件で口外するつもりか?」と聞くので、その時に初めて僕は、話が漏れていることがわかったんです。
 「それ、何の話ですか」ととぼけて聞き返したら、「県会議員が県警本部にやってきた。仙波に事情が聞けるのは、ワシしかおらんけん、お前に聞いてみてくれという話が幹部からきている」ということでした。
 「ああ、そうですか。そんなもん、まだ海のものとも山のものともわからんですよ」と返事しましたよ。

運営者 言質を与えないように対応したわけですね。

仙波  そしたら、「もし口外するのであれば、わしに一番最初に連絡してくれ」と言われました。つまり彼は、「するな」とは言わなかったんです。
 それから「お前、3月の人事異動はどうなんぞ?」と言うので、「そうですねえ、鉄道警察は長いけど、馴れた仕事ですし、残してもろたら良いですが」と答えると、「よし。わかった」と、ちらっと異動のことを匂わせました。

運営者 感触を探りにきたんですね。

仙波  そう思います。そして話が漏れたので、慎重にしないといけないなと思いました。その日から、尾行がついたのは間違いないでしょう。向こうも動き始めた。

運営者 なぜ尾行に気がつかれましたか?

仙波  僕は家が田舎にあるんですよ。仕事が深夜1時まであって、帰り道は車がまったく通らないのに、ずーっと同じ車が家までついてくるんです。最初はピンとこなかったのですが、どこまで行ってもついてくるし、僕が家の車庫に車を入れると、スーッと家の前を通り過ぎた。「県警の車によく似てたけど、思い過ごしかも」と、いったんは思いました。
 翌日は昼からの勤務だったのですが、家から50メートルほど離れた広場に車が1台駐まっているのが見えた。その車の前を僕が車で通ると、乗っている男二人が反対側に顔を背けた。それからぼくは県警本部に行って、拳銃をつけて、その夜は夜中の10時まで勤務だったのですが、それから拳銃保管のため再び県警本部に行くと、やっぱりついてくるんですね。
 「これはやられたな。本気できたな」と、もう、尾行されているという確信を持ちました。
 それから、毎日帰る道順を変えてきたのですが、必ず尾行車がありました。

 

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