プロレスのルールで最も不可思議なものは、カウント4までは反則が許されるというものです。反則をしても具体的なペナルティが無く、むしろカウント4までならいいよと奨励しているワケで、こんな不思議なルールがあるのは、あらゆる競技の中でもプロレスくらいでしょう。このルールがいつ頃成立したのか不明ですが、少なくとも昭和29年に行われた、力道山&木村政彦組対シャープ兄弟戦の時にはこのルールがあったようです。
さて、それではプロレスにおいてはいかなる行為が反則となるのか?思いつくままにざっと挙げてみましょう。
①拳による首より上への攻撃(ボディへの攻撃は微妙)
②ロープに触れた状態になっている相手への攻撃
③チョーク(呼吸器官)への攻撃
④タッグマッチにおける2人以上による攻撃
⑤ヒザ、ヒジの鋭利な部分を用いての攻撃
⑥噛みつき、目つぶし
⑦口や鼻をふさぐ攻撃
⑧覆面レスラーのマスクを脱がす行為
⑨凶器攻撃
⑩レフェリーへの暴行
⑪試合出場権がない者による攻撃
70年代後半くらいまでのアメリカでは相手をトップロープ越しに場外に落とすのも、極めて危険な攻撃として反則になっており、ヒールの王者は苦戦するとこれで反則負けとなり王座を防衛(当時は反則決着では王座が移動しないケースが主流でした)するのが一つの定番でしたが、このルールは気が付けば消滅していました。
こうして見るとプロのレスリングだけあって、打撃攻撃の制限が目立ちます。逆に総合格闘技では多くの場合反則となる、グラウンド状態の相手への攻撃、頭突き、頸椎や脊椎への攻撃はプロレスでは認められています。例えばネックブリーカー・ドロップやアルゼンチン・バックブリーカーなどは総合格闘技ならば、一発で反則負けになる可能性があります。
近年で曖昧になってきているのが顔面へのパンチによる攻撃。この場合のパンチとは拳の頭を当てる打撃で、いわゆる裏拳は手の甲をヒットさせるのでギリギリOKという解釈です。WWEではパンチによる殴り合いのシーンをよく見かけますが、よく見るとレフェリーは「パンチは反則だぞ!」と注意しています。ところがここ10年余りの間に日本では、顔面へのパンチはオープンフィンガー・グローブを着用していれば、決まり手になってしまうケースも少なからず見かけます。
私はこれはあまり宜しくない傾向だと思っています。というか好きではありません。これが百歩譲って掴むこと、すなわち組み技や投げ技を半ば以上放棄したボクシング・グローブを着用してのパンチならば、気持ちの上ではまだ許せるのですが、掴むこともできるオープンフィンガーでのパンチは、どうにもムシがいいというか、ズルいように思えてならないのです。やはりプロレスというジャンルでは、潔さというのはとても重要だと思うのです。
さて、話がいささか脱線してしまいましたが、上記のプロレスの反則は私的には⑦以前と⑧以降で大きく大別できると思っています。すなわちイエローカードの反則とレッドカードの反則ですね。次回はそのあたりについて書いてみたいと思います。
※こちらとは別に「須山浩継伯爵の身勝手日記」(http://blog.livedoor.jp/hirotsugu1069/)というブログの方もご愛読頂ければ幸いです。またhirotsugukunというアカウントでツイッターもやっております 。