<2012年5月=東スポ携帯サイトより>
5月5日のこどもの日、日本の放送文化が成熟への大きな一歩を踏み出す記念日となった。
あの名曲「金太の大冒険」(作詞作曲、歌=つボイノリオ)が堂々とNHKの電波に乗り、フルコーラス、それも1番組内で2回も放送されたのである。
一応、説明しておくと「金太の大冒険」は、腕力に自信がなく喧嘩にも弱い金太君が、悪人に追われるお姫様に頼まれ、悪人と戦いつつ、マスカットを食べて空腹をしのぎ、やがて安全なマカオへと渡り、知り合いの神田君のビルを訪問するというようなストーリー。
知らない人にとっては???だろうが、要は「金太」の後にひたすら「ま」で始まる言葉が続くことで、歌中やたらと「キ○タマ」なんて〝禁じられた言葉〟が連呼されるあの歌。メフィラス星人もビックリだ。
初リリースは昭和50年の8月。で、発売からわずか20日で放送禁止(日本民間放送連盟による)に指定された。
テレビやラジオの放送で聴く機会は極端に少ないハズなのに、なぜか当時から小中学生の間でもバツグンの知名度を誇っていた名曲だ。レコードやCDとして発売はされるが、長年「放送できない歌」の代表作として、半ば伝説にもなっていた。
そんな「金太の大冒険」を堂々と放送した〝勇者な番組〟は、5月5日の午後12時15分から夜の10時までNHK―FMで延々と放送された「今日は一日〝爆笑コミックソング〟三昧 IN 福岡」(NHK福岡放送局制作)だった。
司会は小松政夫とコロッケ。ゲストはイモ欽トリオ(山口良一、西山浩司、長江健次)と入山学(日本喜劇人協会理事)。番組タイトル通り、一日中延々とコミックソングが流され続けた。
コミックソングと言っても、その中身は千差万別だ。
「恋の山手線」(小林旭)、「小松の親分さん」(小松政夫)、「東村山音頭」(志村けん)、「恋のぼんちシート」(ザ・ぼんち)、「アホが見るブタのケツ2」(嘉門達夫)のような王道コミックソング。
「ハイスクール・ララバイ」(イモ欽トリオ)や「めだかの兄妹」(わらべ)のように、お笑い番組の出演者による歌謡曲。はたまた本人はいたって真面目に歌唱しているのに、結果的にコミックソングに分類されてしまっている「マッチョ・ドラゴン」(藤波辰巳=現・辰爾)、「あなたまかせの夜」(江本孟紀)、「オマリーの六甲おろし」(オマリー)などなど。
番組で流された全94曲ものコミックソングの中から、番組のラストで各賞が選ばれた。
技能賞は、あり得ない音程と歌唱法を藤波辰爾と最後まで争った「オマリーの六甲おろし」。敢闘賞はこの日、初めてのライブをスタジオで披露したイモ欽トリオの「ハイスクール・ララバイ」。そして栄えあるMVS(最優秀ソング賞)を受賞したのが「金太の大冒険」だった。番組のラストにもう1度フルコーラスが流されるオマケつきだ。
放送で流されたのは「金太の大冒険 安心してお子様も楽しめるバージョン」 (1996年発売のアルバム「あっ超ー」に初収録された、原曲の「キ○タマ」の「マ」の部分を動物の鳴き声に置き換えたバージョン)だったが、この処理により逆に原曲以上に淫靡な印象を際立たせているのだった。
発表から37年。この曲がNHKの電波で放送されたことに対し、当のつボイは番組内で「NHKのFMのキレイな電波で『金太の大冒険』が紹介されるということは、日本の社会が成熟した証ですよ」と冷静かつ客観的にコメントしていた。
ラジオ深夜便の深夜3時台で「にっぽんの歌・こころの歌、今夜はつボイノリオさんの特集です」のナレーションとともに「極付け!お万の方」「怪傑黒頭巾」「吉田松陰物語」など名曲が流される日も近い?
353:ダルよ、日本人の「テキサス感」は君にかかっている!
005:恐怖のコメットさん
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