◇巨人9−1ヤクルト
巨人が一発攻勢で、1分けを挟む連勝を7に伸ばした。1回に阿部の14号2ランなどで3点を先行し、2回はホールトンがソロ、5回は高橋由の満塁本塁打で突き放した。ホールトンが7イニング1失点で9勝目。ヤクルトは投打に完敗した。
299本目のアーチは指揮官超えの一撃だった。4点リードの5回2死満塁。巨人・高橋由が右中間に7号グランドスラムをたたき込んだ。原監督を抜き、阿部と並ぶ球団歴代2位タイとなる通算9本目の満塁弾。この日夜に開かれた東京湾花火大会より一足早く、試合を決めるド派手な花火を打ち上げた。
お立ち台では来日初アーチを左翼中段まで飛ばしたホールトンに触れ「DJより飛ばなかったんで悔しかった」と珍しくジョーク。大観衆を再び沸かせた。7月5日のDeNA戦(横浜)以来の一発で通算300号にも王手をかけた37歳は「だいぶ久しぶりだったんでね。今年中になんとか打ちたいですけど…」と謙虚すぎる言葉。それでも原監督は「うちの裏4番バッターですから! 裏主砲というかね」と、厚い信頼をユニークな言葉で表現した。
今季の定位置は主に6番。ただ“裏”に甘んじるにはもったいないほどの勝負強さを発揮している。これで満塁では10打数6安打2本塁打、16打点。その秘密は確かな選球眼にある。リーグ6位の46四球を選んでおり、打率は2割4分7厘ながら出塁率は3割6分を超える。投手はストライクで勝負せざるを得ない。「ボール球を振らず、とにかくストライクを打つ。それは比較的できているかなと思います」。高橋由は投手にとっては厄介極まりない存在だ。
ホールトンに加え“表”4番の阿部もそろい踏みで3発9得点。若手の藤村や代打屋の石井も打点をマークし、7連勝で貯金29となった巨人。主役と脇役、ベテランと若手、投手と野手。すべての歯車がガッチリとかみ合った巨人に死角は見あたらない。
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