名古屋グランパスは清水に競り負け、7位に後退、磐田も鹿島に敗れて8位に下がった。広島が大宮を下して勝ち点を40に伸ばし、首位を奪回。仙台は最下位の札幌に逆転負け、8試合ぶりの黒星で同38の2位に後退した。柏はFC東京と引き分け、同35の3位。浦和は神戸に敗れ、得失点差で4位。G大阪とC大阪の「大阪ダービー」は引き分けた。
◆清水3−2名古屋
怒りとも、嘆きとも取れる闘莉王の声が、暗い通路に響き渡った。「つまんねえ。試合やった感じじゃない。バカみたいにフィジカルやってるだけ」。前線で体を張りながら、効果的なボールは届かない。それどころか、闘莉王をFWに上げたことで守備陣が早々に決壊した。前半4分の阿部のオウンゴール、前半終了間際のミスの連鎖による失点、後半29分のカウンター。ロスタイムに逆転敗退を喫した3日前のナビスコ杯清水戦同様、自滅を繰り返した。
闘莉王がFW起用された7月25日のナビスコ杯清水戦以降5試合で計10失点。特にここ2試合は7失点と崩壊した。「相手のチャンスらしいチャンスならいいよ。だけど1点目にしたって阿部ちゃんフリーなのに、誰も声かけない。バカじゃん!? 人任せ。サッカーは人任せじゃダメ。このままだったら、オレら100失点するよ」。声は怒りに震えながらも、闘莉王の分析は冷静だった。
そして、ついにDF復帰の希望を公言した。「戻るしかない。早く戻りたいよ。失点していくのをただ見てるだけなんて」。今は攻撃的なサッカーという理想を捨て、守備を再整備し、少ないチャンスにかける戦法しかない。ただ、次節は累積警告で出場停止。サポーターが満員をめざして動員活動を行い、クラブが20周年記念試合と銘打ったG大阪戦で、チームは闘莉王に頼らず立ち直らなければならない。
同じころ、会見場ではストイコビッチ監督がついにさじを投げていた。「打つ手は打っているが、これがわれわれのマックスだ。これ以上求めても、何も出てこない」。続出するケガ人、理想とはかけ離れたサッカー。それでも、指揮官があきらめたらそこでシーズンは終わってしまう。残り13試合で首位との勝ち点差は「8」。再び立ち上がるための時間は、まだ残されている。
(宮崎厚志)
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