核燃料サイクル

使用済み核燃料 資産価値15兆円と試算
(2012/04/03)
 国が核燃料サイクル政策の見直しを検討していることに関連し、日本原燃の川井吉彦社長は2日、国内に存在する約1万7千トンの使用済み核燃料を原発の燃料として再利用した場合、原油換算で約15兆円の資産価値がある―とする独自の試算結果を公表した。「本当に再処理せずに捨ててしまって良いのか」と指摘し、再処理の見直し論議にくぎを刺した。
 同日、六ケ所村の同社で開いた入社式のあいさつで述べた。
 原燃報道部によると、試算は使用済み核燃料をプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に再処理し、全量を使って1兆5千億キロワット時を発電したと想定。同じ発電量を原油に置き換えた場合に必要な価格を算出した。
 川井社長は、中東などの情勢不安に伴う原油価格の高騰に触れ「わが国のエネルギー構造は極めて弱い。太陽光や風力も克服すべき課題が多く、原子力の代替になり得ない」と強調。原発を維持する必要性を訴えた。
 その上で「われわれの事業は日本のエネルギー安全保障に欠かせない。サイクル事業の確立に挑む大きなロマンがある」と新入社員に呼び掛けた。(藤野武)