『軌跡の戦士エヴァンゲリオン』
第三新東京市帰還編(SC)
第零話 奇跡の戦士エヴァンゲリオン
-Writer
Side-
《第三新東京市》
突如、市街地の中心部に現れた巨大な黒い球体に対して、
ネルフは第十二使徒レリエルと断定し、エヴァ三機による迎撃を決定した。
作戦部長である葛城ミサトが初号機に遠距離からの攻撃の指示を下そうとする直前、
アスカの乗る弐号機が初号機の前をさえぎり、第十二使徒レリエルの元に突撃した。
そして、弐号機はレリエルの直下に生じた黒い影に沈み込んで行く。
救出しようと駆けつけた、碇シンジが乗る初号機も共に黒い影に飲み込まれて消えてしまった。
「レイ。後退するわ。」
「待って!まだ初号機と碇君が!」
「命令よ、下がりなさい。」
葛城ミサトと、零号機パイロット綾波レイの会話が続く中、
レリエルの直下に展開された黒い影から、初号機と弐号機が飛び出し、
黒い影から少し離れた場所の路面に着地した。
エヴァ両機の無事に、発令所は歓喜に包まれたが、次の瞬間、皆が違和感を感じて首をかしげる。
初号機が銃みたいなものを装備している。弐号機は長い棒のような武器を持っている。
黒い影に飲み込まれるまえには持っていなかったはずだ。
そして、モニターに映し出された初号機内の映像に発令所は凍りついた。
十六歳に成長したシンジとアスカが二人乗りの操縦席で仲睦まじく座って居たのだ。
レリエルに飲み込まれる前は十四歳の中学生だった二人が。
さらに、弐号機にも十六歳の黒髪で琥珀色の瞳を持つ少年と赤い髪とルビー色の瞳をもつ少女が座っていた。
-Asuka
Side-
アタシはモニターに映っているネルフの発令所の面々が固まっている姿を見て、失笑を浮かべていた。
隣に座っているシンジも噴き出しそうになっているのをこらえている。
『な、何で初号機にアスカが乗ってるのよ!しかもシンジ君と一緒に!弐号機は誰が動かしてるのよ!』
「自分の目で確認して見れば?」
アタシがそう言うと、ミサトは弐号機の方に通信を切り替えたみたい。
-Estelle Side-
「どうやら、無事にアスカとシンジが居た世界に来れたみたいね。」
「うん、でもこれからが本番だよ。」
弐号機の操縦席であたしがヨシュアと話していると、
通信モニターに黒い長い髪のおばさん、いやお姉さんの顔が浮かび上がった。
『あなたたち、なんで弐号機を操縦しているの?アスカに関係があるわけ?』
お姉さんはあたしたちを警戒しているのか、睨みつけている。
あたしたちは第一印象が大事だ、と言う事で、精一杯の笑顔をモニターに向けて、自己紹介をした。
「あたしはアスカのお姉さんのエステル・ブライトです。よろしくー。」
「僕は同じく兄弟のヨシュア・ブライトです。」
『私は葛城ミサト。よろしくねん、じゃなくて!アスカはひとりっ子のはずよ!』
「まーまー、あの使徒って奴を倒した後、ゆっくりと説明するからさ。」
あたしはそう答えた後、モニターから聞こえる怒号は無視して、アスカたちの乗る初号機を注視していた。
-Shinji
Side-
初号機に乗るボクたちはスピーカー越しに聞こえるミサトさんの弐号機への怒鳴り声を尻目に、
使徒を倒すための行動を開始した。ボクが操縦桿を握り、アスカが魔法の詠唱を始める。
アスカとシンクロしているエヴァ初号機も、魔力の開放を始める。
「ヘルゲート!」
アスカの声と同時に、初号機の前方、レリエルの直下に暗黒の渦が発生する。
暗黒の渦は、レリエルの本体にダメージを与えたようだ。崩壊する虚数空間。
レリエルの影だった黒い球体と一緒に本体である直下の黒い影も跡形もなく消えた。
-Yosha Side-
僕は黒い球体と影が消え去るのを見て、使徒が倒された事に安心した。
五感を駆使して、念のため周辺の気配を探ってみる。
うん、使徒の気配はしないようだ。
スピーカー越しに相変わらず混乱した声が聞こえる。
『エ、エヴァが魔法を使うなんて、そんな非科学的な……』
『リ、リツコ!』
『先輩、しっかりしてください!』
どうやら僕たちの事を構っている暇が今のところないようだ。
でも、エヴァから降りたら簡単に信じてはもらえないだろうけど、説明しなければならない。
シンジ君のお父さん。僕たちの世界ではお世話になりました。
今度は僕たちがあなたたちの世界を救う番です。
未来のあなた方もそれを望んでいます。
僕は決意を固め、隣に座っているエステルの手を握りしめた。
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