『僕のアスカ。太陽のような君。』
リベール王国来訪編(FC)

外伝四話 王女救出作戦


《王都グランセル 遊撃士協会》

アスカ達がグランセル王城のデュナン公爵の夕食会に出発した後、あたし達は遊撃士協会の二階で作戦の細かな確認を行っていた。

「エステルさんとヨシュアさんまでこちらに駆り出して申し訳ありませんでした。何しろこちらも人数的にギリギリですからね」
「いえ、別にそんなこと」

エルナンさんに謝られると逆に恐縮してしまうわね。

「それでは、エルベ離宮攻略作戦のチーム分けをお話します。チームはまず遠くで騒ぎを起こして敵を引きつける陽動、それを迎え撃つ要撃、さらに近くで騒ぎを起こして敵を混乱させるかく乱、人質を救出する突入の四チームに分けて行います」

エルナンさんがそう言うと、みんな騒ぎ始めた。

「八人で四チームに別れると言う事は、一チームが二人か三人になると言う事ですか?」

ヨシュアがそう言うと、エルナンさんは静かに首を振った。

「いえ、一チーム四人で行動して頂きます」
「えっ、計算が合わないんですけど……」

あたしがそう言うと、一階から人が昇ってくる気配がした。

「どうやら間に合ったようですね」
「……あ!」

姿を現したのは闘技大会で戦ったカプア一家の三人とレイヴンの三人だった。

「ボクっ娘が何でここに?」
「いいかげん、名前で呼べよ、怪力女!」

ヨシュアにちょっかいを出したジョゼットを見ると、つい悪態をとってしまうのよね。
揃ったあたし達に向かってエルナンさんは号令をかける。

「陽動部隊はジョセットさん、キールさん、ドルンさん、オリビエさんにお願いします」
「ふっ、心得た」
「まっ、軍から目を付けられている俺達が適任だな」

エルナンさんの指示にオリビエとキールさんはうなずく。

「要撃部隊はカルナさん、グラッセさん、アネラスさん、クルツさん」
「はい」
「気合入れて行くよ!」
「かく乱部隊はアガットさん、ディンさん、ロッコさん、レイスさん」
「おう!」
「ああーっ、やっぱり……」

って事は突入部隊は……。

「突入部隊はエステルさん、ヨシュアさん、シェラザートさん、ティータさんにお願いします」
「うはあ、責任重大じゃない……大丈夫かな」

あたしがそう言って弱音を吐くと、ヨシュアが笑って答える。

「心配するなんてエステルらしくないよ」
「……何よそれ、あたしがいつも能天気みたいじゃない」

あたしがムッとした顔で反論すると、ヨシュアは謝った。

「ごめんごめん、エステルが苦しい時も無理して元気を出しているのは知っているよ。だから僕はエステルのその笑顔を曇らせないようにしたいんだ。僕の元気の源だから」

ヨシュアの言葉を聞いてあたしは顔がかあっと赤くなるのを感じた。
悔しいのであたしもヨシュアに言い返した。

「じゃあ、あたしからも一言いい?」
「なに?」
「ヨシュアも自分一人で何でも抱え込まないで、正直に話して欲しいの。ヨシュアがいくら強がったって、あたしにはお見通しなんだから!」
「えっ……?」

あたしがそう言うと、ヨシュアはポカンと驚いた顔になる。

「そうそう、私達がついているんだから」

シェラ姉も加わってそう励ますと、ヨシュアは嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとう」
「士気は十分に高まったようですね。それでは作戦開始と参りましょう。それではエステルさん、号令を」
「え、あたし!?」

突然、エルナンさんに指名されたあたしは驚いてしまった。

「こう言う事はエステルさんの方が相応しいと思いまして。お願いできますか」

あたしはうなづくと、集まったみんなに向かって号令をかけた。

「それではこれより、エルベ離宮に捕らわれた人質解放作戦を決行する!」
「おーっ!」

あたしの号令に答えるみんなの声が部屋の中でこだました。
頑張ろうね、ヨシュア。

 

《王都グランセル郊外 エルベ離宮前》

僕達はエルベ離宮の入口が見えるところで、他の部隊が動くのを待っていた。
しばらくすると、特務兵達が騒がしそうになった。
いよいよ、ドルンさん達カプア一家とオリビエさんの陽動部隊が行動を起こしたんだろう。

「大変です、東の湖の警備艇が空賊に襲われています!」
「中にはリュートをかき鳴らす変な男も混じっているとか……」
「面白い、私も行くとしよう」

特務兵の報告を聞いて、結社の幹部らしい男もエルベ離宮の中から姿を現して、陽動部隊が居る方へと向かって行った。
確か、ブルブランと言う名前だったと思う。
ジェニス学園の旧校舎で会ったような気がするけど、あの時はエステルとキスした事で頭がいっぱいだった。
エルベ離宮から特務兵達がぞろぞろと出て行ったけど、きっと要撃部隊のみんなが倒してくれるだろう。
でも、エルベ離宮にはまだそこそこの人数が警備についている。
次はアガットさんとレイヴン三人のかく乱部隊の出番だ。

「お前達、こんな所で何をしている!」

正門の前で座り込んでいるアガットさん達に特務兵が声をかけると四人ともケラケラと声を上げて笑い出した。

「ここで何をしようと俺達の勝手じゃ〜ん」
「そそ、あんた達に答える義務何か無いもんね」
「邪魔だからあっち行けよー」
「痛い目に遭いたくなかったらとっとと消えろ」

レイヴンの三人はいつものように、元レイヴンのアガットさんも演技が板についているような感じだった。

「何だと!」

特務兵は怒り出して四人を追いかけ回し始めた。

「エルベ離宮は女王様の意向で一般市民に開放されているって話だろ?」

そう言うアガットに続いてレイヴン達も一緒にエルベ離宮の正門から玄関前の庭園に侵入した。

「侵入者だ、直ちに排除しろ!」

エルベ離宮の本館からも特務兵達が飛び出してきて、玄関前の庭園は混乱のるつぼと化した。

「アガットさん達に注意がいっている今が突入のタイミングだね」
「わかったわ!」

僕はエステル達に声をかけると、隠れていた茂みから姿を現してエルベ離宮の正門に向かって駆けだして行った。
後ろから、ティータを気遣いながらエステルやシェラさん達も続いて来る。
玄関前の庭園に居る特務兵達はアガットさん達に気を取られていたようで妨害は無かった。
そして、僕達は玄関からエルベ離宮の本館に入る事に成功した。

「まず、人質がどこにいるか確かめないと……」
「そうね」

僕の提案にみんな賛成して、手前の部屋から確認していく事にした。
廊下や小部屋で特務兵の小隊と何度か出くわしたけど、上手く気絶させることができた。
そして僕達は離宮の一角にある談話室へと踏み込んだ。

「何だあ、お前達は?」
「遊撃士協会の者です。お聞きしたい事があります」

僕はそう言ってエステル達と一緒にすでに酔っぱらっていた特務兵の男を縛り上げた。

「わ、私は仲間ではありません!」

カウンターでお酒を出していた男の人が慌てて両手を上げる。

「わかっているわよ。この離宮で元々働いていた人でしょう?」

シェラさんがそう言うと、その男の人はホッとしたように腕を降ろした。

「……私は執事のレイモンドと言います。姫様が来た事に浮かれて、特務兵達が姫様を監禁している事に気がついた時には私も人質にされていました」

そしてレイモンドさんは頭を抱えて溜息を吐いた。

「私は特務兵達の目を盗んで友達の記者に連絡したのですが、彼も捕まってしまって……」

僕はもしかしてと思って、レイモンドさんに聞いた。

「その記者さんの名前はもしかしてナイアルって言うんじゃないですか?」
「ああ、よく分かったね。後輩の子がエルベ離宮に行ったきり帰って来ないって心配してたから」

レイモンドさんの言葉を聞いて僕とエステルは顔を見合わせた。

「慎重なナイアルさんが捕まっちゃったのって……」
「ドロシーさんが居たから、放って置けなかったんだね」

そう呟くと、エステルは僕の目をじっと見つめて来た。

「エステル?」
「ヨシュア……」

僕は悲しげな目をしたエステルが何を訴えているのか分かった気がした。
でも、それは僕の錯覚だったんだ。

「ヨシュアが結社にさらわれたりしてもあたしが助けにいくからね!」

僕は笑顔でそう言ったエステルに思わず力が抜けてしまった。

「立場が逆じゃないの? あんたらしいわ」
「エステルお姉ちゃん……」
「はは、ありがとう」

シェラさんとティータもあきれている前で僕は何とか作り笑いを浮かべてエステルに答えた。

「さてと、それじゃあ取り調べを始めましょうか」

シェラさんはそう言うと、ムチを縛られている特務兵の男に向かって構えた。

「い、一体何をするつもりだ!」
「ちょっと聞きたい事があるだけよ。素直に話せば痛い目にはあわないわよ」

すっかりノリノリになっているシェラさんを見て、僕達はお互いに顔を合わせてささやき合った。

「シェラ姉、絶対楽しんでいるわよね?」
「うん、久しぶりの獲物に生き生きしている感じだね」
「ちょっと怖いです……」

僕達がボソボソ話している間にシェラさんのムチの音と特務兵の男の悲鳴が何回か室内に響き渡った。
レイモンドさんとティータはすっかりおびえてしまっているよ……。

「ふう、この男から引き出せる情報はこのぐらいね」

シェラさんがそう言って打ったムチを食らった特務兵の男は気絶してしまった。
シェラさんが取り調べによって得た情報によると、王女を含めた人質のみんなはエルベ離宮の本館の奥にある紋章の間に捕らえられていると言う事だった。
しかし、部屋の鍵は外に出て行ってしまった結社の幹部ブルブランが持っていると言う。
僕達は困り果ててしまったけど、ティータだけは落ち着いていた。

「ジャーン、私が作った万能キーです!」

そう言ってティータが取り出したのは金色に光る金属でできたカギだった。

「ここの先端部分の金属がかぎ穴に合わせて形を変えるんですよ」
「凄いじゃない、ティータ!」
「えへへ」

エステルに頭をなでられてティータは嬉しそうにしている。
問題が無くなった僕達はエルベ離宮の警備についている特務兵達が混乱している間に急いで紋章の間へと向かった。

 

《エルベ離宮 紋章の間》

入口を守っていた特務兵達を倒したあたし達が部屋の中に入ると、部屋の中は怪しげな霧で充満していた。

「これは……?」

あたしの呟きに答えるように奥から声が聞こえて来た。

「ふふ、こうして人質を眠らせておけば逃げられる事もないと言う事よ」

この声は聞き覚えがある。
そしてこの眠気を誘う霧……結社の幹部の一人、ルシオラさんの仕業だ。
霧の中に居るうちにあたしの頭の中までぼーっとしてきたわ……。

「ええぃ、ハリケーンメーカー!」

そう叫ぶティータの方に視線を向けると、扇風機のような機械が動き出すのが見えた。
あんな機械がティータのリュックの中に入っていたの?
あたしはぼう然とティータがルシオラさんの霧を吹き飛ばすのを見ていた。
あたし達の周りに満ちていた霧はすっかり晴れて眠気は吹き飛んで行った。

「ナイスよ、ティータ!」
「えへへ」

あたしが親指を立ててティータに向かって笑顔を送ると、ティータも照れ臭そうに笑った。

「あらあら、みんな私の術で幸せな夢を見ていたのに、覚ましてしまってはかわいそうよ」

そう言って優雅な笑みを浮かべるルシオラさん。
あたしの頭の中に以前にルシオラさんの術にかかって眠ってしまった時に出会った母さんの姿が浮かぶ。
あれはあたしの心の奥底の願い。
でも、あたしは夢の中で母さんと、いえ、もう一人の自分と約束したのよ。
夢の中に逃げ込まないで前を見て進むって!

「今度こそ僕達と勝負しろ、ルシオラさん!」

怒ったようにそう叫ぶヨシュアに、ルシオラさんは鼻で笑ったように見えた。

「私の任務は時間稼ぎ。人類補完計画を成功させるためのね」
「結社は何を企んでいるんだ!」

ヨシュアがそう言って問い詰めると、ルシオラさんは静かに首を横に振った。

「私もくわしくは知らないわ。ただ私はあの人にもう一度会いたいだけ」
「姉さん、まだ団長の事を……」

シェラ姉が辛そうな顔でルシオラさんを見つめる。

「……だって、私自身に幸せな夢を見せる術をかける事は出来ないもの」
「でも、会えたとしてもそれは姉さんの心の中の団長じゃない」

ルシオラさんの呟きにシェラ姉はあわれんだ様子でため息をついた。

「ふふ、団長の魂はあの時私が奪ったのよ。そして今も私の手元に……」

うっとりとした目つきで虚空を見つめるルシオラさんにあたしは寒気のようなものを感じた。
そんなルシオラさんの姿が揺らいで行く。

「また逃げる気ですか!」

ルシオラさんはヨシュアの言葉に何も答えずに煙のように姿を消してしまった。

「お、俺はどうしてこんな所に……」
「ナイアル先輩!」

人質になっていた人々がうろたえながら目を覚ましたようだった。
あたしは人質にされていたモルガン将軍の孫娘、リアンヌちゃんの事が気になって急いでリアンヌちゃんを捜した。

「あなたが、リアンヌちゃん?」
「うん、そうだよ」

あたしが声をかけた時、リアンヌちゃんは落ち着いていた。
特務兵達にさらわれて心細い思いをしていると思ったのに、意外だった。

「私ね、夢の中でパパとママと一緒だったから寂しくなかったよ!」

あたしは喜んだ顔でそう言うリアンヌちゃんに本当の事を言えなかった。

「姫様、御無事でなによりです」

あたしがリアンヌちゃんと話している間に、みんなはクローゼの無事を喜んでいた。
クローゼは以前のジェニス王立学園の制服では無くて、落ち着いたドレスを着ている。
まるでお姫様みたい……って本物のお姫様なんだっけ。

「ええっと、クローディア王女殿下と呼べばいいのかな?」

そうあたしが質問すると、クローゼは首を横に振った。

「いいえ、以前のようにクローゼで結構ですよ」
「クローゼもお父さんとお母さんの夢を見たの?」
「ええ、私が1歳の時に事故で亡くなってしまったと聞かされていましたけど、写真は残っていましたから……」

クローゼはそう言って胸に手を当てて目を閉じた。

「クローゼ、あの夢は……」
「わかっています。あの夢は私達を甘い世界に閉じ込めるために作られたもの……でも、自分を見つめ直す良い機会になりました」

そう言ってあたしを見つめるクローゼの瞳は力強かった。
うん、クローゼは自分を見失っていない。
あたしは安心した。

「きゃあああ!」

ティータの悲鳴が上がった方を振り向くと、そこにはティータに大きな鎌を突き付けたレンが立っていた。

「はわわレンちゃん、何で……?」

おびえた瞳でティータがそう問いかけると、レンは不敵に笑う。

「ティータがレンを置いてどっかに行っちゃうから迎えに来たのよ」
「レンちゃん、私もエステルお姉ちゃんとヨシュアお兄ちゃんのお手伝いがしたかったから……」
「やっぱり、ティータもレンの側から居なくなっちゃうんだ」

そして、レンはもっと大きい声で叫ぶ。

「ヨシュアみたいにレンを置いて行っちゃうんだ!」
「えっ?」
「やっぱり、僕は前に君に会ったことがあったんだね?」

あたしは驚いた声を上げてレンとヨシュアの話を聞くことしかできなかった。

「ヨシュアは、レンの事をすっかり忘れて、エステルの家のお婿さんになっちゃって! この浮気者!」
「僕が浮気?」
「だって、ヨシュアはレンの事、お嫁にもらってくれるって約束したのよ!」
「ええっ!?」
「何だと?」
「それは本当ですか?」
「何ですって!?」
「本当なんですか?」

あたし以外にも驚いた声が部屋の方々から上がった。

「そんな……僕が結社に居た頃はまだ小さい子供だったし……よく覚えていないよ」

ヨシュアが戸惑ったようにそう答えると、レンは心の底から怒ったような顔になった。

「裏切り者のヨシュアなんて大嫌い! エステルと一緒に首をはねてやるんだから!」

レンはそう言うと、ティータを強引に連れて部屋の外に出て行った。

「待って、レン!」

あたしはヨシュアと一緒に中庭に出ると、レンは大きなロボットのような物の手のひらの上に立っていた。
そのロボットにはぐったりとしたティータが乗せられていた。
陽動や遊撃、かく乱に出ていたみんなも中庭に来ていたみたいだけど、そのロボットに手出しができないようだった。

「パテル=マテル、行くわよ!」

レンが命令すると、そのロボットは空高く浮かび上がって、王都の方へと飛び去ってしまった。

 

《王都グランセル郊外 キルシェ通り》

僕達はグランセル城に居るシンジ達と合流するため、エステルやクローゼ達と一緒にエルベ離宮からの道のりを走っていた。

「ヨシュア、レンの事を考えているの?」
「うん……」

どうやらエステルには僕の事はお見通しだったみたいだ。

「レンはきっとヨシュアの言葉を支えにしてきた部分もあったんだろうね」
「僕が結社に居た頃、レンの事はとても小さな女の子だとしか覚えてなかった」
「その時のヨシュアが10才ぐらいだとして、レンは6才ぐらい……その頃の子って、憧れとかでお嫁さんにして欲しいとか言っちゃうんじゃないかな?」
「そう言うものなのかな?」
「あたしの友達もそんな感じよ。教会の日曜学校を卒業する年になると、みんな笑い話になってるけどね」
「エステルもそうだったの?」
「あたしは初恋を自覚したのは、マノリア村でヨシュアとキスしたときだったから……」

そう言って顔を赤くして僕の方をチラリチラリと見るエステルはかわいくて。

「ふふ、お二人が羨ましいです」
「えっと、クローゼはシンジに……」

エステルが困ったような顔でクローゼに言い淀んだ。

「ええ、振られてしまいました。シンジさんとアスカさんの間には私がとても割って入れないような特別な絆があるようですね」
「クローゼはシンジが初恋の相手だったの?」
「そうではないですけど……シンジさんの優しさにひかれてしまいました。リシャール大佐から帝国の皇子との縁談を強く勧められていて困っていたところでしたから」
「そっか、クローゼは姫様だもんね」
「お相手の皇子様がお優しい方だったらいいんですけどね」

クローゼが溜息と同時にそう言った途端、オリビエさんが大きなクシャミをした。

「おい、大事な作戦の最中に恋の話なんてしているんじゃねえ!」

話し込んでいた僕達は、アガットさんに怒られてしまった。

「そうね、アガットの恋人のティータがさらわれちゃったんだから、心配よね」
「バカやろう! あのチビは俺の恋人なんかじゃねえ……まあ、妹みたいなものだ」

エステルにからかわれたアガットさんは少し顔を赤くしてそう言った。

「いやはや、こんな時に遊んでいられるなんてまったく頼もしいやつらだぜ」
「そーですね、ナイアル先輩」

エステルのおかげで僕の暗い気持ちはずいぶんと明るくなれたけど、レンは僕に心をまた開いてくれるのだろか。
それだけが不安だった。
僕達はグランセル市街を駆け抜け、アスカとシンジ達、救出された女王様との合流地点である西区画の大聖堂へと急いだ。


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