社説:党首会談合意 自民の譲歩を歓迎する
毎日新聞 2012年08月09日 02時32分
しかも一体改革関連法案以外にも積み残しになっている課題は山ほどある。違憲・違法状態になっている衆院小選挙区の「1票の格差」是正問題は一向に議論が進んでいない。今年度、赤字国債を発行するための特例法案も8月になったというのに成立していない。こうした状況を自民党がどう考えているのかも明確ではなかったからだ。
自民党内にも、そうした無責任な姿勢に対する国民の批判が自民党に向かうという懸念があったのだろう。結局、谷垣氏も党首会談の開催を受け入れ、「近いうちに」という抽象的な表現でも受け入れざるを得なかったとみられる。
党首会談では、この「近いうちに」とは具体的にどの時期を指すのか、野田首相からは具体的な提示はなかったという。しかし、首相自身、以前から関連法案成立後、しかるべき時期に国民の信を問うと明言してきた。懸案にめどがついた際には、いずれ総選挙に踏み切らなくてはならない時期は来る。
民主党内は敗北を恐れ、「解散先送り」の一点張りだ。今回の混乱劇の最中も、首相が法案成立を優先して早期解散に踏み切るのを恐れ、「野田おろし」の動きさえ出始めていた。党分裂の末に決定した消費増税法案だ。所属議員が本当に増税が必要だと考えているのなら、正々堂々と総選挙で訴え、有権者の理解を求めるのが政権与党の責任であろう。