2012/08/07
第4回 最近の報道(2)〜Tポイントによるライフログ取得の適法性〜
前回、2012年7月17日の朝日新聞の記事で、
TSUTAYA(ツタヤ)を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が、
Tポイントカードを利用しているユーザのライフログである医薬品購入履歴(商品名等)を取得し、
これをマーケティングに利用しているという報道があったことの説明をしました。
今回は、CCCによるTポイントカードでのライフログの取得とマーケティング利用について
どのような法的問題があるかを説明します。
CCCは、T会員規約(2011年10月1日改訂版)第4条(個人情報について)第2項において
取得する情報の種類を規定しています。
具体的には、
(2)において「ポイントプログラム参加企業における利用の履歴」
(8)において「サービスご利用内容」
などの情報をCCCは取得していると規定しています。
さらに、このような情報の利用目的については、同条第3項において規定されています。
具体的には、
(3)において「会員のライフスタイル分析のため」
と規定しています。
詳細はこちらのURLを参照していただくと分かると思います。
http://www.ccc.co.jp/member/agreement/index.html#agreement04
(T会員規約第4条)
・個人情報保護法、
・ライフログに関する総務省の提言である
「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会 第二次提言」(2010)、
・「行動ターゲティング広告ガイドライン」(2010、一般社団法人インターネット広告推進協議会)
などに照らしてみると、このようなCCCによる規定には違法性があるものとはいえないでしょう。
例えば、
「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会第二次提言」(2010、総務省)
において、
事業者が「ライフログ」を取り扱うにあたって配慮すべき事項をまとめた「配慮原則」があります。
この「配慮原則」では「透明性の確保」が要求されていて、
企業が顧客や消費者に明示すべき項目として、
「ウ.取得される情報の項目」
「ク.利用目的」
などの事項が記載されています。
このことからすると、
「ポイントプログラム参加企業における利用の履歴」や「サービスご利用内容」という
CCCが明示しているCCCが取得する情報は、
配慮原則が透明性の確保において要求している取得される情報の項目として
十分であると評価されうるものです。
また、ライフログ取得の利用目的について、
「会員のライフスタイル分析のため」とCCCは明示しています。
このことから、CCCが取得するライフログの利用目的は、
配慮原則が透明性の確保において要求している利用目的として
十分であると評価されうるものといえるでしょう。
したがって、CCCによるユーザの購入履歴(ライフログ)の取得と利用は、
現時点では法的には問題がないものと思われます。
しかし、今回の報道によると、顧客や消費者から見ると、
透明性が確保されているとは言い難いと判断されているように思われます。
このあたりは、企業側から見るか、顧客側から見るかで、判断が異なる問題といえそうですね。
今回は、Tポイントカードによるライフログの取得とマーケティング利用に関する
法的な問題点を簡単にみてきました。
では、このような問題があるとして、
企業はどのようにライフログを取得し利用していけば良いでしょうか。
この点は、次回説明させていただこうと思います。
次回:ライフログの適切な取扱方法