富裕層とそれ以外の格差という政治的に敏感な問題は欧米に限った話ではない。お金と権力を持つ人々のライフスタイルは、今や中国の政治で最もデリケートかつ危険な話題だ。最近、ブルームバーグニュースのウェブサイトが中国で遮断されたのは、近く中国の国家主席になる習近平氏の一族の財産について記事を掲載したことに対する処罰と言われる。
数週間前にあった啓東市の汚染を巡る暴動では、地元の共産党幹部が着ている洋服のブランドを教えろと抗議者が要求して事態が悪化した。英国放送協会(BBC)は「高価なイタリアブランドだと知ると、彼らは幹部の服をはぎ取り、上半身を裸にさせたと言われる」と報じた。
なぜ、こんなことが起きるのか?エコノミスト誌のザニー・ミントン・ベドーズ氏が最近書いたように、「世界の市民の大多数は今、金持ちとその他の格差が1世代前より格段に大きくなった国々に暮らしている」からだ。そのトレンドが最も極端だったのが欧米だ。同氏が指摘するように、米国では「富裕層の上位1%に流れ込む国民所得の割合が、1970年代の8%から2007年の24%へ3倍に拡大した」。
■格差拡大の時代が終わりに
最終的に、こうした変化は政治的な反発を招かずにはいられない。その引き金になったのは、一般市民の生活を圧迫する一方でトップ層の不正を暴いた「グレート・リセッション(大不況)」だ。オバマ大統領からオランド大統領まで、欧米の政治家はこの新たなムードをうまく捉え、導こうとしている。大不況の打撃がそれほど大きくなかったアジアでは、ほかの要素が働いているかもしれない。インターネットとマイクロブログの台頭で情報を広めやすくなり、追い詰められた労働者と大金持ちの格差に対して怒りをかき立てるのが容易になった。
新たなムードが一層強まれば、70年代終盤に欧米ではマーガレット・サッチャーとロナルド・レーガンの両氏、中国ではトウ小平氏の政権獲得で始まった、減税と規制緩和、格差拡大の時代が終わりを告げるかもしれない。サッチャー氏が79年に首相に就いた時、英国の最高税率は83%だった。彼女はこれをまず60%、さらには40%へ引き下げた。この水準は金融危機まで続いた。前政権から70%の最高税率を引き継いだレーガン氏は、それを50%に引き下げ、最終的には28%にした。中国では、「金持ちになることは素晴らしい」と語ったトウ小平氏の言葉が時代の精神をうまく捉えていた。
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