2012/08/08
第5回 ライフログの適切な取扱方法
今回で「ライフログ」に関するブログも最終回です。
そこで、最後に、企業のみなさんに、
「ライフログ」に関する適切な取扱方法について提案させていただこうと思います。
すでに第2回目「マーケティングにおけるライフログの意義と定義」で説明したように、
ライフログの意義は多様です。
そして、確認になりますが、弊所としては、以下のように、
ライフログの定義を一応提示しています。
@自然人(個人)の
Aネット内外(オフライン・オンラインを問わない)の行動(活動)について
Bデジタルデバイス(スマートフォン・PC等)を通じて収集・蓄積(デジタル化されている情報となる)される
C特定の個人に関する個人情報(個人識別情報)であるか、特定の個人に関連する個人情報に該当しない情報(非個人識別情報)であるかを問わない情報
ここで改めて具体例を挙げてみると、
私のような30代の男性が検索エンジンで「温泉」というワードを検索した場合、
年齢や性別や検索ワードも「ライフログ」と言えるものです。
しかし、これらの情報については、企業に取得されていても、
顧客や消費者として特に大きく嫌悪感を抱くことはあまりないものと思います。
これに対して、ある人の病院への通院歴や性生活のようなものは、
その人の機微情報(センシティブ情報)といえ、これもライフログにあたります。
しかし、このような機微情報(センシティブ情報)は、
通常、他の者に知られることについて不快な思いを抱くものであるはずです。
このように、「ライフログ」と一言でいっても、
「ライフログ」を取られてしまう顧客や消費者の視点から見ると、
企業に取得されても問題のない情報から、不快な思いをする情報まで多くの情報があるものです。
特に、通院歴や性生活のような機微情報(センシティブ情報)については、
顧客や消費者は一般的にこれを企業に取得されると不快な思いをすると思います。
そのため、一般的には、
企業は機微情報(センシティブ情報)を取得しない方が良いと言われています。
しかし、企業としては、事業上の必要性から様々な「ライフログ」を取得することとなるでしょう。
その際に、法的なルールの遵守(コンプライアンス)という点からは、
どのような情報をどのような目的で取得し、
どのように取り扱うのかをプライバシーポリシーやライフログポリシーで明示すること
が重要になります。
ただ、それらを単純に明示すればよいというものではなく、
実際に顧客や消費者がそれらの情報を取得されてしまうことに対してどのような感情を抱くのか、
顧客や消費者の視点に立ちかえって改めて検討する必要があります。
法的に合法であるということと、
顧客や消費者から企業に対するイメージの問題(広い意味では企業のレピュテーションの問題)
は異なりますからね。
今日のようなデジタル社会においては、
極めて多くの企業が顧客や消費者の「ライフログ」を取得しているでしょう。
「ライフログ」を取得するすべての企業は、法的ルールを遵守し、
かつ、
顧客や消費者からのレピュテーションに配慮した対応をすることが期待されているものと思います。