夕食時になると、選手村ではおなかを空かせた各国のアスリートが続々と食堂に集まってくる。ロンドン五輪の選手村には各国料理を取りそろえた選手専用のカフェテリアが一時的に作られており、5000席を備えたスペースは小規模の空港ほどで、選手たちは24時間無料で食事ができる。
本来、メディア関係者も選手村への立ち入りを禁止されているが、記者は内密で潜入することができた。キッチンなしの2818室を含む「オリンピック・ビレッジ」は、閉幕後には住宅に転用される。英不動産大手デランシー・エステーツと、カタールの政府系不動産開発大手カターリ・ディアールが5億5800ポンド(約686億円)で取得済みだ。
オリンピック期間中の今は、格差もなく、お金も必要としない、アスリートの聖域となっている。世俗に汚されることもないが、どこか殺伐とした雰囲気は、共産主義の理想郷といったところか。
企業としてフードコートに参加しているのは、公式スポンサーとなっているハンバーガー大手のマクドナルド、飲料大手のコカ・コーラのみ。
セレブレーション・アベニューと名付けられたメイン通りはアパートに囲まれており、ほとんどのバルコニーには各国の国旗が掲げられていた。
フィットネスセンターは後に学校に改築される予定だが、多くの選手がルームランナーでトレーニングしている。器具に備え付けられた画面で競技の模様を見ることもできるし、そこからメールや交流サイトにアクセスすることもできる。