2012.8.11 05:04

ノリさん続投か!「率いたい気持ちある」(2/2ページ)

特集:
なでしこジャパン
泣きじゃくる岩渕(右)の肩を抱く佐々木監督。勇退から一転、続投の可能性が出てきた(共同)

泣きじゃくる岩渕(右)の肩を抱く佐々木監督。勇退から一転、続投の可能性が出てきた(共同)【拡大】

 「スピルバーグ則夫」のマジックも通用しなかった。米国に0-2とリードを許すと、MF沢を前線に上げた。さらにMF川澄を左サイドバックに下げ、FW岩渕、FW丸山と大胆に攻撃のカードを切る。後半38分、GKソロと1対1の岩渕のシュートは惜しくも阻まれた。

 「もう少しでね。なでしこの奇跡が起きれば、面白かったのに」

 試合後の会見に悲壮感はなかった。ジョーク交じりのノリオ節。世界ランク1位を相手に持ち味のパスワークを展開。防戦一方だった過去2試合から一転、本来の姿を取り戻した。

 「笑顔を絶やさず、いい雰囲気を作ってくれる。付いていきたいと思った」と沢が感謝すれば、佐々木監督は「選手が自主性を持ち、楽しんでやってくれている。一番は監督が楽天的だからかな」とおどける。

 しかし、素顔は情熱的な勝負師だ。1次リーグ第3戦の南アフリカ戦は、移動疲れが減る2位通過を目指し、ドロー狙いを指示。フェアプレーに反するとの批判は「オレが責任を取る」と一身に引き受けた。

 NTTのサラリーマンだったJ1大宮の強化普及部長時代。電話での仕事がまとまらないと相手先が長野、群馬、栃木なら夜中に車を飛ばし、朝一で商談をまとめた。月の電話代は30万円超。マイカーを乗り潰すと、仕事先で新たな中古車を買って戻ってくる。

 当時の上司だった大宮の鈴木茂社長は「“できない”とあきらめる人が多い中、彼はこうしたいと思えば、すぐに行ってしまう」と猛烈ぶりを振り返る。

 安定した生活をなげうち、06年になでしこジャパンへ。コーチ時代を含む7シーズン目が、9月に任期満了となる。決勝前日は「ボクの最終章」と勇退を示唆したが、試合後は「なでしこを率いたい気持ちはある。1カ月は考えたい」と続投へ意欲を見せた。不世出の名将の今後が、注目される。

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(紙面から)