巨人−ヤクルト 7回裏2死一、二塁、右前に勝ち越し打を放ち、二塁上でガッツポーズする代打石井(中西祥子撮影)
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◇巨人4−3ヤクルト
巨人が1分けを挟んで6連勝とした。3−3の7回2死無走者から内野安打と四球で一、二塁とし、代打・石井の右前適時打で勝ち越した。2番手の田原が2勝目を挙げた。ヤクルトは2本塁打などで同点としたが反撃もここまでだった。
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何をやっても、白星が手に入る。首位の巨人が今季3度目の6連勝。8日の松本哲、9日の田原に続き、この夜の伏兵は石井だ。昨年オフに西武を戦力外になった打撃職人が、試合を決めた。
塁上で両コブシを天に突き上げる。厳つい顔に満面の笑みが広がった。「よく覚えてない。夢中だったから」。7回。2死一、二塁から一、二塁間を破った。二塁走者の寺内が捕手のタッチをかいくぐって生還。追いつかれた直後に飛び出した値千金の決勝打だ。
野球人生の危機を乗り越えた。「まだやれる」という思いを抱えて臨んだ昨秋の合同トライアウト。規定打席不足のシーズンも含め、打率3割を6度も記録している打撃に注目したのが巨人だった。「拾ってもらったことに感謝してます」。新天地での活躍は何よりの恩返しになった。
前夜は試合後、自宅でロンドン五輪をテレビ観戦。「サッカーを見ちゃったので、寝たのは(午前)6時です」。なでしこジャパンと米国の激闘に大興奮。「少し気合入ってました」。逆境に立ち向かう姿に、自分の境遇を重ね合わせた。
常に心がけていることがある。「野球はテキトー。楽しまないと、結果は出ない」。苦労を経験しても、その姿勢は変わらない。肩ひじ張らず、ありのままの自分で勝負する。その余裕が14打数6安打の代打成績につながっている。
原監督も手放しで称賛した。「勝負強さが出ましたね。貢献ポイントは非常に大きい」。今季3勝6敗と、唯一の壁だったヤクルトを伏兵の一打で撃破。試合のなかった中日との差を4・5ゲームに広げ、満足感あふれる夜になった。 (井上学)
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