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列島一丸 「なでしこ、ありがとう!」

産経新聞 8月11日(土)8時50分配信

 すべては彼女らから始まった。ロンドン五輪での日本人選手らの活躍。サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は最初に五輪の舞台に登場し、10日未明の決勝までの6試合で国民に勇気と感動を与えた。米国に1−2で惜敗したものの、日本サッカー史上初となる銀メダル。その偉業に列島はわいた。

 終了のホイッスルがウェンブリー競技場に鳴り響く。なでしこは、跳びはねて喜ぶ米国選手の横でピッチに崩れ落ちた。MF沢穂希(33)は空を見上げ、主将のMF宮間あや(27)はピッチに横たわったまま。激闘を演じた両チームに五輪女子で最多記録となる8万人超の観衆が惜しみない拍手を送った。

 キックオフは日本時間10日午前3時45分。国内では多くの人々がテレビに向かって声援を送った。

 ■被災地に元気

 「知ってる選手が出てるから、ますます気になる」。福島県広野町の民宿「ひろの」の経営者、山本明道さん(65)は台所で朝食の準備をしながらテレビに視線を送った。食堂の壁にはMF鮫島彩(25)やFW丸山(29)ら選手のサインやグッズ。Jリーグやなでしこリーグのチームが福島で合宿を行う際の定宿だったが、東京電力福島第1原発事故後は原発作業員の定宿に。酷暑対策でサマータイム勤務の原発作業員が続々と集まり、朝食を食べながら展開を見守った。

 前半8分に米国が先制。「やられた!」。卵焼きを挟んだ箸を口に運ぶ手前で止めた作業員が、呆然とテレビを見つめた。

 東京都渋谷区のスポーツバー「エムスポ」では約120人のサポーターが集結。なでしこのシュートが続くと「入ってくれ!」と祈るような声が上がった。

 迎えた後半。早々に2点目を奪われ場内は静寂に包まれた。横浜市の看護師、近藤敬子さん(30)は「苦しいときこそ今まで自分たちが積み上げてきたものを思いだして」。

 ■金と同じ価値

 後半18分、沢を起点にFW大儀見優季(25)が決め1−2に。東日本大震災の津波で被災した宮城県南三陸町。復興商店街で呉服店を営む山内義申さん(56)は仮設住宅で反撃を期待した。「(優勝した昨年7月の)ワールドカップの時も沢から始まった。逆転できる」

 だが、願いはかなわず、試合終了。ため息と大きな拍手が交錯する。神奈川県大和市のホールでサポーター約550人と観戦したFW大野忍(28)の兄、智彦さん(33)は「金と同じぐらい価値がある銀。お疲れさまと声をかけてあげたい」とたたえた。

 声援は選手にも届いた。MF川澄奈穂美(26)は試合後にブログを更新。メダルの写真とともに、こう書き記した。

 《どんな時も応援してくれているファンやサポーターのみなさんと一緒に取った銀メダル(中略)“ありがとう”以上に感謝の気持ちが伝わる日本語ってないんですかね? んー、わかんないからとにかく全力で言ってみよう。みんな!!ありがとう!!》

最終更新:8月11日(土)8時50分

産経新聞

 

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