地デジ音声対応ラジオや触読式アラームクロック−−厚労省で11年度障害者自立支援機器等開発…

2012年03月08日

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◆地デジ音声対応ラジオや触読式アラームクロック−−厚労省で11年度障害者自立支援機器等開発促進事業成果を公開

厚生労働省は7日、東京都千代田区の同省講堂で障害者の自立や社会参加を支援する2011年度の「障害者自立支援機器等開発促進事業」採択の技術21テーマや、製品化された過去の支援技術などを公開した。操作性に配慮した電動車いすやiPadを利用した音声筆談会話補助機器などが実演展示されたほか、新たな取り組みとして東京電気大学未来科学部の福祉機器開発プロジェクトなどが紹介され、障害者や開発者らが出展者の説明を受けながら熱心に見学していた。

◆地デジ音声も受信可能な音声ガイド付きラジオ

株式会社アステムが今春製品化を目指して開発中の卓上型地デジ対応ラジオは、FM、AM放送に加えて、地上デジタルテレビ(ワンセグ)の音声も受信できる=写真1。従来のアナログテレビ放送をテレビ音声受信対応のラジオで利用していた多くの視覚障害者が昨年7月の地上デジタル放送移行後、テレビ音声を利用できないという悩みを聞いた同社が開発に踏み切った。

「一般的には視覚障害者はラジオと思われがちですが、調査によりますとニュースはもちろん、ドラマも音声だけで楽しんでいる視覚障害者が圧倒的に多いんです」

同社の佐藤至さんが地デジラジオ開発の経緯を説明した。

ラジオには設定メニューやチャンネル・バンド切り替え時などに視覚障害者が自力で操作状態を把握できるように音声ガイドを付加しており、「テレビ放送です」「2チャンネルです」などと音声が流れる。

また、気象庁から最大震度5弱以上の揺れが予想されたときに発信される緊急地震速報にも対応しており、電源を切っていても受信できる。ただし、副音声の解説放送についてはNHK総合の連続テレビ小説のような通常のワンセグ放送で受信可能なものに限られ、大河ドラマの解説などは受信できない。

価格は未定だが、同社では2万円以下に抑えたいとしている。

◆点字初心者向け携帯型音声メモ機

東京都のエクセル・オブ・メカトロニクス株式会社が開発中の中途視覚障害者向け簡易電子メモ装置「BraiTalker(ブライトーカー)=写真2」は6点キーボードを搭載しており、点字タイプライターを打つ感覚で点字を入力しながら入力内容を内蔵スピーカーやイヤホンから聞こえる音声でチェックできる。パソコン用の外付け点字キーボードとしても利用可能。キータッチが軽くてシリコンラバーの採用で防水対応なのが大きな特徴。別売りの液晶モニターを併用すれば、晴眼者も閲覧できる。

本体内蔵メモリーには6000文字×32ファイルの点字記録が可能。

本体寸法は幅158×奥行き100×高さ22ミリ。重さは約300グラム単4電池2本使用。

◆盲ろう者がしっかりさわれる触読式アラームクロック

有限会社ピージェーアイの盲ろう者向け触読式アラームクロック=写真3=は、目も耳も不自由な盲ろう者が時計の針を触って現在時刻を知ったりアラーム時刻を設定できる。

特に盲ろう者が迷いがちな午前と午後の区別ができるように、12時間ごとに2ミリの隆起・沈降動作を繰り返す表示部を設けているのと、表示板を触りながら振動アラームの時刻設定ができる、電池交換の時期が分かるのが大きな特徴。

本体直径は100ミリ。単4乾電池2本使用。

ただしアラーム振動を伝える子機はケーブル接続式のため、ブルートゥースのような無線通信でポケットなどに入れておけたらさらに使いやすかったろう。

このほか、音声認識大手のアドバンスト・メディアのiPhone・iPadの液晶画面で音声認識と文字列表示を行う聴覚障害者用のコミュニケーション用アプリ、株式会社日本テレソフトの二次元音声コード「ハイスペックコード」読み取り作成ソフト、有限会社安久工機の視覚障害者用作図ペン「ワイヤレス型触図筆ペン」、国産点字プリンター大手の株式会社ジェイ・ティー・アールが試作中の視覚障害者用高速触図プリンターなどが注目を集めた。【岩下恭士】ニケーション用アプリ、株式会社日本テレソフトの2次元音声コード「ハイスペックコード」読み取り作成ソフト、有限会社安久工機の視覚障害者用作図ペン「ワイヤレス型触図筆ペン」、国産点字プリンター大手の株式会社ジェイ・ティー・アールが試作中の視覚障害者用高速触図プリンターなどが注目を集めた。【岩下恭士】

◆動画:一般公開された開発プロジェクト

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