談話・コメント

中曽根外務大臣談話

小和田恆国際司法裁判所裁判官の裁判所長就任について

平成21年2月6日

[ENGLISH]

  1. 2月6日(金曜日)(オランダ時間)、ハーグ(オランダ)の国際司法裁判所(ICJ)で開催された同裁判官会議において、裁判所長選挙が行われ、我が国出身の小和田恆(おわだ ひさし)裁判官が選出されたことを歓迎します。
  2. 国際紛争の平和的解決のために、国際社会において最も権威ある司法機関である国際司法裁判所が果たしている役割が益々増大していることに鑑み、同裁判所において我が国出身の裁判官が貢献することは重要です。これまで6年間にわたり、この重要な役割を果たしてきた小和田裁判官が、今般、日本人として初の裁判所長に就任したことは、同裁判官への高い評価を示すものであり、その意義は大きいと考えます。今後の小和田裁判官の所長としての更なる活躍を期待します。
  3. 我が国としては、国際司法裁判所の発展に引き続き協力し、国際社会における法の支配の推進に積極的に貢献していきたいと考えています。

(参考)

  1. 国際司法裁判所(ICJ)

    (1)ICJは、国際法に基づく国家間の紛争の平和的解決を任務として、1945年に設立された国連の「主要な司法機関」。オランダのハーグに所在し、国連総会及び安保理双方の選挙で選ばれた裁判官15名で構成。

    (2)国家間の裁判手続のほか、国連の諸機関の求めに応じ、法律問題に勧告的意見を述べることができる。

    (3)現在のICJ規程の当事国は192ヶ国(注:国連加盟国は当然にICJ規程の当事国となる。)。我が国は1956年の国連加盟に先立ち、1954年4月2日にICJ規程の当事国となった。

  2. ICJ所長選挙

    (1)ICJは、裁判官15名により構成される裁判官会議において、3年ごとに裁判所長及び裁判所次長を選挙する(任期は2月6日から3年間、再選可)。選挙は裁判官の互選により秘密投票で行われ、過半数の票を得た者が当選したものとされる。

    (2)裁判所長は、裁判所のすべての会議を主宰するほか、裁判所の業務を指揮し、運営を監督する。

    (3)今回の選挙では、小和田裁判官が所長に選出されたほか、トムカ裁判官(スロバキア)が次長に選出された。なお、本件選挙は裁判官の互選によるため、他の立候補者や投票結果等の詳細情報は非公開であり、不明。

    (4)これまでの我が国出身のICJ裁判官には、小和田裁判官のほか、小田滋裁判官(1976~2003年、1991~1994年は裁判所次長)及び田中耕太郎裁判官(1961~1970年)がいるが、日本人裁判官がICJ所長を務めるのは今回の小和田裁判官が初めてである。(なお、国際連盟における国際司法機関であり、ICJの前身にあたる常設国際司法裁判所(PCIJ)においては、安達峰一郎裁判官が所長(1931~1934年)を務めている。)

  3. 小和田恆ICJ裁判官

     2002年11月に行われた裁判官選挙で選出されたICJ裁判官(2003年2月より現職、任期は12年2月までの9年間)。裁判官就任前は、1955年に外務省入省、国際法関連の業務に長く携わった後、条約局長、官房長、OECD日本政府常駐代表(特命全権大使)、外務審議官、外務事務次官、国際連合日本政府常駐代表(特命全権大使)等を歴任し、1999年に退官。他に、財団法人日本国際問題研究所理事長(1999-2003)、常設仲裁裁判所裁判官(2001-現在)等。東京大学教養学部教養学科卒業、英国ケンブリッジ大学法学部大学院修士課程修了。

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