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2012年8月10日22時38分

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いじめを見ている君へ

《いじめを見ている君へ》猫ひろしさん

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写真:猫ひろしさん拡大猫ひろしさん

■自分の芯、ありますか

 僕(ぼく)は小学生のときから、背が低くて、太っていて、顔も老(ふ)けていた。学校では「チビ」「デブ」「おやじ」と言われ、悔(くや)しくてけんかもした。そのうちわかってきたことがあります。

 いじめに回る子って実は大したことない。自分の意見がなくて、1対1になると何もしゃべれない。金魚のフンみたいに強い人について回るだけ。そのくせ、黙っていると調子に乗る。次第(しだい)に「あ、真剣(しんけん)に相手をするのは時間のムダだな」と思うようになりました。

 自分の中に芯(しん)がない人、他人の後ろをついて回るだけの人が、僕には一番かっこ悪い。僕は何事にも「猫(ねこ)まっしぐら」にのめりこんできた。小学校ではサッカー。中高では卓球。どちらも実際の成績はたいしたことなかったですけど、やっているときは本当に本気でプロになるつもりだった。

 そして、今はお笑いの仕事に夢中です。マラソンでオリンピックをめざしてカンボジア国籍(こくせき)を取ったので「芸人(げいにん)やめてマラソン選手になるんですか」と聞かれますが、毎日走り、苦しい思いをしても、常(つね)に話題を発信(はっしん)し続けるのが芸人の仕事だと思ったからがんばれた。他の芸人にはできない僕の武器だと思います。オリンピックに出場できたら一番よかったけど、それがすべてじゃない。

 本当に強い人には自分の意志がある。あなたにも早く夢中になるものが見つかればいいと思います。そうすれば周りの声も気にならない。いじめられている人を見ればかわいそうと思うでしょ。そこで助けられるかどうか。同調(どうちょう)して人をいじめたり、ただ見ていたりするのは情(なさ)けない。今のあなたは自分を持って生きていますか。(ねこ・ひろし=お笑い芸人)

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