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2012年8月9日22時29分

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いじめられている君へ

《いじめられている君へ》茂木健一郎さん

写真:茂木健一郎さん拡大茂木健一郎さん

■外の世界とつながろう

 君に、真(ま)っ先に知ってほしいことがある。

 世の中は、君をいじめている人だけでできているわけではない。だから、小さな集団に閉じこもって絶望(ぜつぼう)を募(つの)らせたらダメだよ。

 君をいじめている人は、他人の痛みを想像することができないんだ。集団で1人をいじめることの卑劣(ひれつ)さにも気づかない。未熟(みじゅく)で弱い人間なんだろうね。

 でも、世の中にはいろんな人たちがいる。君にとって(君をいじめている人にとっても)必要なのは、世界の広さを知ることだ。そのためには、社会のさまざまな人たちと接することが大切じゃないかな。

 こんな研究がある。「他人のために何かをする」という利他的(りたてき)な行動は、1人がかかわる集団がたくさんある方が発達しやすい。それぞれが一つの集団にしか属(ぞく)さない場合、他人のために何かをするという行動が生まれにくいというんだ。

 この研究を子どもに当てはめて考えると、クラスのみんなが「学校がすべて」になっていると、いじめが起こりやすい。いじめられている子を助けるような利他的な行動も起きにくい。

 だから、本当は学校のみんながいろんな集団にかかわっているのが理想なんだ。君をいじめている人たちも、広い世間を知れば、グループに閉じこもっていじめていた自分が、いかに卑劣だったか分かり、恥(は)ずかしくなるだろう。

 とりあえず君も、学校だけでなく、ご近所さんとか、塾とか、スポーツのチームとか、外の世界につながっていこうよ。いろいろな場で多くの人と知り合えば、学校でいじめられても、別の集団、仲間がいるから、心のバランスを保つことができるはずだよ。(もぎ・けんいちろう=脳科学者)

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