ますます開く日韓スポーツ予算の差
韓国の聯合通信を見ていたら、興味深い記事があった。
ロンドン五輪が開催される今年は、昨年より2.7%多い8634億ウォン(約572億円)の予算が体育分野に投入される。
(中略)
代表選手の1日当たりの手当は3万ウォンから4万ウォンに、指導者の手当も月380万ウォンから430万ウォンに引き上げられる。また、2018年に開催される平昌冬季五輪に備え、冬季スポーツ施設の拡充や優秀選手の育成に135億ウォンを投入する。
韓国は、国家がスポーツに注力し、国威発揚をはかる国のひとつだ。
6個の金メダルを獲った2010年のバンクーバー五輪の年の、韓国のスポーツ関連予算は7500億ウォン。
このとき、円に換算して約555億円と日本では報道されている。
あれから2年が経ち、歴史的な円高となっているため、555億円が572億円と微増程度にしか見えないが、2年前の円相場で見てみると8634億ウォンは、約634億円となる。
一方の日本、12月24日に閣議決定された2012年度政府予算案の、スポーツ関係予算は前年度より4.4%増えて237億9300万円と過去最高になった。(これでも韓国の半分以下)
が、この内ロンドン五輪でメダル獲得が期待される競技を重点的に支援するマルチサポート事業は、前年度当初比約5億円増の27億4600万円、前年度と同額となったJOCへの補助金25億8800万円。
この合計の約53億円が、五輪等の強化費にほぼ近いと見られる。
韓国では8634億ウォンの50%が選手強化に当てられている。
日本の人口は1億2800万人で韓国4800万人の2.5倍、日本のGDPは4兆3095億ドルで韓国1兆3423億ドルの3.3倍規模があるにも関わらず、どうしてこうなるのだろうか。
ちなみに先のスポーツ関連予算を国の予算費で見ると、日本は約0.025%。
韓国は約0.26%。
桁が一桁違う訳だ。
韓国式の選手強化が正しいとは思わない。
韓国は一握りのエリートを重点的に育てる少数精鋭主義。
アーチェリー、ショートトラックスケート、テコンドー等強い競技は圧倒的に強い。
逆に地元開催でありながら、昨年のテグの世界陸上では一人の入賞者も出せなかったように、この国のスポーツ環境が歪(いびつ)なのは歴然としている。
が、かといって日本のスポーツ環境は余りに貧弱だ。
日本は、2008年にナショナルトレーニングセンター(NTC)を作ったが、その総面積は6万6000㎡。
使用にあたっては国は費用の3分の2しか負担していない。
韓国のNTCである泰陵の総面積は31万㎡、強化指定選手、コーチはもちろん無料で使用できるどころか、選手には聨合の記事にあるように日当が4万ウォン支払われる。
ここにインドアのロングトラックのスケート場が完成し、バンクーバーのスピードスケートだけで3個の金メダルを獲ったことは記憶に新しい。
そして、今年の6月にはソウルの南110キロに総面積104万㎡の第2NTCがオープンする予定もある。
韓国では五輪メダリストには、毎月最高100万ウォンの年金が生涯支給されているのだが、最高額を受け取っている(元)選手だけで1000人を超している。
一方の日本は、当然ながら五輪金メダリストにも特別な年金はない。
1992年以降のメダリストに対し、JOCからの報奨金が金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円与えられるに過ぎない。
参考のために申し上げるが、1988年ソウル五輪以降の11回の夏冬五輪の金メダル争いで、日本が韓国を上回ったのは1998年の長野五輪と2004年のアテネ五輪の2回しかない。
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