発信箱:英霊と天皇の東京裁判=冠木雅夫(編集編成局)
毎日新聞 2012年08月10日 00時19分
文芸評論家、加藤典洋氏が戦後50年を前に発表した「敗戦後論」を思い出した。戦争で死んだ日本の300万人の哀悼を先に置き、それを通じて2000万人のアジアの死者への謝罪に至ることが必要だと論じた評論だ。原点に戻って戦後日本の「ゆがみ」を解消し、日本人を主体として確立しようという思いに通じるものがある。
慰霊の夏に戦後の日本について考えさせてくれる一冊といえる。