反捕鯨団体の妨害想定し
県警と海保が合同警備訓練
太地町
和歌山県太地町の太地港で7日、9月から始まる小型鯨類の追い込み漁解禁を前に、反捕鯨団体による妨害行為を想定した県警察本部と第五管区海上保安本部の合同警備訓練があった。警察と海上保安庁の連携強化、違法行為への迅速な対応などが目的。ことしで2回目。
同町では過去に反捕鯨団体などによるイルカのいけす網の切断や鯨肉搬送の妨害などの違法行為があり、昨年12月には活動家が暴行容疑で逮捕される事件も起きている。県警は漁が始まる前の8月下旬までに同町に特別警戒本部や臨時交番を設置し、漁期中の反捕鯨団体などの違法行為に備える。
県警本部と新宮、串本の両警察署から警察官50人、第五管区海上保安本部、和歌山、田辺の海上保安本部、串本海上保安署から海上保安官50人の計100人が参加し、海と陸で連携しながら訓練した。
訓練は、ビデオ撮影していた反捕鯨活動家が、いけすに飛び込み、網を切断して小型船で逃走を図ったという想定。連絡を受けて駆け付けた海上保安庁のボートが小型船を追跡し、器物損壊の容疑で男を確保した。
活動家が鯨肉を積み込んだトラックの前に立ちふさがったり、寝そべったりして搬送の業務を妨害し、警察官が撤去命令に従わない活動家を連行するという訓練もあった。
終了後に警察庁警備局公安課の笠原俊彦課長が「実戦さながらの迫力ある訓練で頼もしく感じた」と講評し、海上保安本部警備救難部警備課の岩並秀一課長も「力の入った士気の高い訓練だった。しっかり連携して警備に当たってほしい」と呼び掛けた。
県警本部の植田秀人本部長は「一地方、一国だけでなく世界的な問題である。国の威信をかけて対処しなければならない課題と認識している」と述べた。
三軒一高町長は「これで安心して漁に出られる。町としても強い決意で鯨漁を守っていく」と話していた。
訓練終了後には今シーズンの警備を話し合う同町捕鯨問題対策連絡会と同現地連絡会も開かれた。
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逃走する不審船を追う海上保安庁のボート=7日、太地漁港

鯨肉輸送車の進行を妨害する反捕鯨活動家を連行する警察官ら |