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海江田経済産業大臣談話・声明

緊急安全対策の実施状況、浜岡原子力発電所の停止及び中部地域の電力需給対策について

平成23年5月9日
  1. 今般、中部電力株式会社より、浜岡原子力発電所の停止要請を受け入れる。電力需給対策を始め、国の支援をお願いしたい、との回答があった。多くの困難があったと思うが、迅速に対応いただいたことに深い敬意を表したい。これも踏まえ、全原子力発電所の緊急安全対策の確認・評価結果、浜岡原子力発電所の停止、中部地域の電力需給対策について、改めて御説明申し上げたい。
  2. 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、3月30日、全国の原子力発電所について、直ちに講ずべき短期対策と中長期的に信頼性を高めるための計画からなる緊急安全対策の実施を各電力会社に指示した。各電力会社からの報告を踏まえ、現地での立ち入り検査や訓練への立ち会いを行い、各社の対策の信頼性を厳格に確認・評価した。
    その結果、全ての原子力発電所について、直ちに講ずべき短期対策が適切に措置されていることを確認した。
    すなわち、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を引き起こしたものと同程度の津波により、全交流電源喪失に至ったとしても、注水により冷却を行い、炉心を管理された状態で維持することが可能となる。これにより、炉心損傷や使用済み燃料の損傷を防止し、多量の放射性物質を放出することなく、冷温停止状態に繋げることができると考えている。
    さらに、防潮堤の設置、原子炉建屋の水密化工事や、空冷式非常用発電機の高所での設置など、各発電所の立地環境に応じた中長期的対策を進める計画を有していることも確認した。これにより、安全対策の信頼性が更に向上する。事業者に対しては、短期及び中長期の対策の確実な実施を促すとともに、今後とも気を緩めることなく訓練の充実を含め継続的に信頼性の向上に取り組むよう求める。これらの緊急安全対策の確認結果を踏まえ、現在運転中の原子力発電所について運転を継続すること及び起動を控えている原子力発電所が運転を再開することは安全上支障がないと考える。なお、これらの確認結果については、国として責任を持つものであり、地元の自治体の皆様の理解が得られるよう、原子力安全・保安院から説明させることにする。
  3. 浜岡原子力発電所については、耐震安全対策はこれまで適切に講じられてきており、また、技術基準等の法令上の安全基準は満たしている。しかしながら、文部科学省の地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期予測によれば、30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性が87%と極めて切迫している。同発電所は、30年以内に震度6強の地震が発生する可能性が84%と、他の発電所に比べて、際だって高く、他の発電所と全く異なる環境の下にある。地震発生に伴う大規模な津波襲来の切迫性と、津波による今回の事故を踏まえ、苦渋の決断として、「一層の安心」のための措置が必要と判断した。
    このため、6日、中部電力に対し、同発電所について、短期対策だけではなく、防潮堤設置や原子炉建屋の水密化工事などの中長期対策を完了するまでの間、全号機の運転を停止することを求めた。従って、中長期対策が完了したことを原子力安全・保安院が確認できれば、現時点の知見によれば、再起動するのに十分な安全性を備えることとなる。これは同発電所における、大規模津波襲来の切迫性という特別な状況を踏まえたものであり、同発電所の耐震性能自体を問題とするものではなく、また、他の原子力発電所については、このような切迫した状況にあるものではない。
  4. 浜岡原子力発電所が運転停止した場合の電力需給については、中部電力において、長期停止火力の運転再開などの供給面の対策に加え、需要面では節電の要請などを行う予定。これらの出来うる全ての手段により、ぎりぎり最低限の需給バランスを確保していきたいと聞いている。
    昨日、中部電力の水野社長から、5項目の要望をいただき、基本的に了解する旨お答えした。経済産業省として、中部電力の取組を最大限に支援していく。これまで申し上げた点に加え、
    (1)原発停止に伴う追加的な費用負担について中部電力から具体的要請があれば、金融支援策など最大限検討していきたい。
    (2)需給バランスの確保のため、火力発電を円滑に運用するための規制面での工夫や、先ほど電事連の八木会長にお会いし、直接申し上げたが、他電力からの最大限の融通を働きかけていく。
    (3)また、電力のユーザーである産業界、国民の皆様にも節電呼びかける。事情をご理解いただき、是非ご協力いただきたい。
    (4)交付金については、2年間はこれまでどおり交付され、2年後以降も減額されることはない。その点も含めて立地地域への十分な説明を行っていく。
    中部・関西地域の知事を始め関係者とも相談し、国と地方、官と民が一体となって、この状況を乗り切っていきたい。

【問い合わせ先】

資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課 佐藤、安田
電話:03-3501-1749

原子力安全・保安院原子力発電検査課 山本、石垣
電話:03-3501-9547

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最終更新日:2011年5月9日
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