北朝鮮:軍利権にメス…資源無許可輸出、死刑も
毎日新聞 2012年08月10日 02時31分
【北京・米村耕一】北朝鮮当局が、外貨獲得の最有力手段である地下資源を無許可で開発・輸出した者には死刑を含む厳罰を科す方針を決め、国内向けに6月中旬に通知していたことが分かった。毎日新聞が入手した人民保安部(警察に相当)の布告文に記載されていた。朝鮮人民軍を背景にした企業や機関による資源開発利権の独占状態を是正し、貧富の格差拡大に歯止めをかける狙いとみられる。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記による国内改革措置の一つと位置づけられる。
「国の地下資源を侵害する者たちを厳格に処罰することについて」と題する布告文は▽国家の承認を受けずに地下資源を採掘、売り買いして金もうけをしてはならない▽掘り出した地下資源を他国に勝手に売ってはならない−−などと規定。布告に反した場合、それまでに当局から受けていた地下資源開発の承認が取り消される上、資金、物資、設備がすべて没収され、重大な違反のケースには死刑にすると明記している。
北朝鮮では石炭や鉄、銅などが輸出品目の上位を占める。地下資源の開発・輸出には朝鮮人民軍や国防委員会傘下の機関や企業が主に関わり、独占状態を維持してきた。