2022年の脱原発を決めたドイツ政府の諮問機関(倫理委員会)のメンバーを務めた自由ベルリン大学のミランダ・シュラーズ教授が来日し福島県などを訪れた。エネルギー政策をめぐる日本の議論や福島の状況について尋ねた。
――エネルギー政策をめぐる日本国内の議論をどうみますか。
「原子力発電の比率ばかりが焦点となり、討論の本当の枠組みが国民が見えにくいのではないか。原子力にイエスかノーかでなく、私たちがどういう未来を望むか、どんな日本にするのかについて、原発を脇において考えたらどうかと思う。(2030年に原発比率をゼロにする選択肢などを政府が示した)3つのシナリオの利点はどこか。雇用は、教育は、若者たちにとって機会が豊富か、経済競争力は、様々な観点から点検する必要がある。ドイツの倫理委員会は2カ月間の議論で原子力以外のことをたくさん話した」
「福島第1原発事故後に、日本政府がやらなかったことに私は驚いた。ドイツ政府はまず安全性が低いと考えられた8基をすぐに停止させた。政府が安全配慮を優先しているとのメッセージを国民に対し送った。日本ではなぜそうでなかったのか」
「市民の安全のためのエネルギー政策を推進する政府とは何か、市民の安全とは何かを私たちは議論した。例えば、気候変動はドイツの人にとって最優先課題のひとつだ。低炭素社会に移行することで(化石燃料や原子力の)代替エネルギー産業を育て、次世代の雇用を生み、短期ではなく長期の競争力を高める。エネルギーコストを長期的に減らすことで実現できると考えた」
「日本は高齢化や地域経済の低迷・過疎化など多くの課題に直面している。福島は悲劇だが、日本を新しい道に導く契機になる。新しいビジョンが要る。3つのシナリオをあまり固定的に考えるのでなく、柔軟に考えることが大切だ。ゴールは原発ゼロに向かって動きつつどこまで代替エネルギーや省エネルギーの拡大ができるかをみて人口動態や経済成長などを勘案しながらアコーディオンのように伸び縮みできる戦略を考えたらどうか」
ミランダ・シュラーズ、ベルリン大学、太陽光発電
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