元明大ラグビー部主将、泥酔しタクシー強盗で逮捕

明大時代は主将を務め、ラグビー大学日本一に輝いた信野容疑者。強盗容疑で逮捕された

　客として乗ったタクシーで運転手を殴り車を奪ったとして、警視庁神田署は７日、元明大ラグビー部主将で職業不詳の信野将人容疑者（３８）＝江東区有明＝を強盗の疑いで逮捕した。信野容疑者は、主将を務めた９５年度の大学選手権で優勝し大学日本一を達成。卒業後は社会人リーグ、リコーで１０年間プレーした。同署によれば、信野容疑者は犯行当時、ＪＲ水道橋駅付近の居酒屋で飲んだ帰りで「酒に酔っていて覚えていない」などと供述している。

　かつて主将として国立競技場で大学日本一の歓喜に浸った男が…。神田署によると、信野容疑者は７日午前２時１５分ごろ、千代田区三崎町２丁目の路上で、停車していたタクシーに乗車。男性運転手（３３）に泥酔状態で「お茶の水方面へ」と告げた後、運転手の態度が気に入らないと怒りだし、運転手の顔面を殴打した。

　身の危険を感じた運転手は、鼻血を流しながら車外へ逃げた。信野容疑者は、そのままタクシーを自分で運転して走り去った。運転手は水道橋駅前の交番に駆け込み、被害を報告。署員が駆けつけた時には、タクシーは反対車線にハザードを出した状態で止まっていた。タクシーはトヨタのクラウン。

　神田署によると、チェックの半袖シャツに白のハーフパンツ姿の信野容疑者は、現場から約３０メートル離れたところにしゃがみ込み携帯電話をいじっていたという。周辺を運転して現場に車を戻した模様だが、信野容疑者は「覚えていない」と繰り返した。任意同行し、翌朝逮捕となった。運転手は軽傷だった。

　信野容疑者の現役時代のポジションはスタンドオフ。スクラム、モール、ラックなどの密集状態からボールが出たときに最初に受け取り、攻撃へとつなげる司令塔だ。１９９２年の全国高校選手権で準優勝した国学院久我山高時代に、当時の明大の名将・北島忠治監督（故人）の目に留まった。本人は早大への進学を希望していたが、北島監督の「信野を獲らなければ、これから４年間、明治は早稲田に勝てない」という希望に応えて明大進学。大学４年時には主将として明大を率いて、早大を撃破し日本一になった。北島監督の「前へ」を合言葉にパワー重視のイメージが強い中で、伝統の戦法にこだわらない「完ぺき主義の理論家」として知られていた。

　９６年からは社会人リーグ、リコーで主力選手として活躍し、１０年間プレー。主将も務めた。０５年に引退した後、１年間プレーイングコーチを務め、今年５月に依願退職していた。同署によれば「今は自分で事業をやっている」などと供述しているという。

　リコーのチーム関係者は「常にリーダーシップを発揮できる人だった。事件を聞いて驚いている」と話した。同署によれば、事件当時は数人の知人と水道橋駅周辺でビールを飲んでいた。アルコール摂取量は飲酒運転の基準をはるかに超えるレベルだったという。

　◆信野　将人（しんの・まさと）１９７４年３月１６日、東京都府中市生まれ。３８歳。８歳の時、八王子ラグビースクールに入門。国学院久我山高では高３のときに全国高校選手権で準優勝。明大では１年からレギュラーとして活躍した。リコーでは９６年から１０年間プレーし、０５年に引退。現役時代は１７２センチ、７２キロ。

（2012年8月8日06時03分スポーツ報知）