トップページ社会ニュース一覧テレビ会議 生々しい事故対応の様子が
ニュース詳細

テレビ会議 生々しい事故対応の様子が
8月6日 18時32分

テレビ会議 生々しい事故対応の様子が
K10041064411_1208061933_1208061942.mp4

東京電力福島第一原子力発電所の事故直後の現場と東京の本店とのやり取りを記録したテレビ会議の映像が、6日、報道関係者に公開され、生々しい事故対応の様子が確認できました。
しかし、公開された映像は一部に限られ、録画や録音を認めないなど事故対応の検証にとって不十分な内容で、全面公開が求められます。

テレビ会議の映像は、事故対応の検証にとって欠かせない資料ですが、プライバシーや社内資料を理由に東京電力が公開を拒んできたもので、社会的な要請や枝野経済産業大臣からの事実上の行政指導を受けて、6日から報道関係者に対し公開することになりました。
公開されたのは、事故発生当日の去年3月11日から5日分、合わせて150時間分の映像で、東京電力の本店に設けられた部屋の中のパソコンで閲覧する形で行われ、ほかに水素爆発したときの現場の様子や、いわゆる全員撤退問題に関わるやり取りなど、社会的に関心の高い時間帯については、東京電力が映像を編集して1時間半分を報道関係者に提供しました。
提供された映像には、津波に襲われ電源を失ったあと対応に苦慮する様子や、次々に水素爆発していくなかで動揺する現場、それに事故対応に介入する官邸とのやり取りに困惑する東京電力の幹部の姿などが映っています。
3号機が爆発した直後の免震重要棟の映像では、かすかに揺れる様子が確認でき、現場の指揮官の吉田前所長が「本店、大変だ。大変だ。たぶん3号機で爆発が起きた」と話すなど、正確な事態がつかめないなかで混乱する様子が見て取れます。
このように、テレビ会議の映像は、事故対応を検証するうえで極めて重要な証拠ですが、今回、公開された映像は一部に限られ、個人が特定されることを理由に閲覧用の映像を録画したり録音したりすることが認められていないほか、提供映像には加工も加えられています。

弁護士“制限公開に問題ない”

東京電力は、今回の公開にあたって、社員のプライバシーに配慮するとして、役員や一部の幹部を除いて個人が特定されないよう映像については29か所、音声については1665か所について、モザイクを入れたり、名前の呼びかけに「ピー」という音を加えたり、加工しています。
これについて、東京電力からの依頼で第三者の立場で映像を確認した弁護士の寺島秀昭さんは記者会見で、「加工されたところは個人名や役職名、電話番号だけで、個人が特定された場合の本人や家族への影響を考えると法的にも妥当だと思う」と話しました。
そのうえで、公開の範囲を5日分に限ったり、録画や録音を認めないという制限を設けたりしたことについて、寺島弁護士は「テレビ会議の映像は公開を前提に録画していない。あくまでテレビ会議は社内の意思や情報の伝達手段で、映像の取り扱いは東京電力が判断するもの」という見解を示しました。

専門家“全面公開は必要”

東京電力が公開したテレビ会議の映像について、情報公開に詳しい早稲田大学大学院の春名幹男客員教授は「映像は、事故の再発防止や原因を解明するための記録として、国民的な財産であり、国民の知る権利に応える非常に重要な資料だ」と述べています。
そのうえで、東京電力が社員のプライバシーなどを理由に公開する映像を制限したことについては「このように映像が限定されると、どこが削除されたのか、何が残っているのか分からないという問題が残り、東京電力が都合の悪い部分を削除したのではないかという疑いも出てきてしまう。事故の検証を十分に可能にするためにも全面公開が必要だ」と指摘しています。
さらに「画像だけでは分かりにくいところがあり、今後、関係者のメモや、現場に残されたホワイトボードの記録と突き合わせることで、そのときに何が起こったのか、再現することが重要で、事故を繰り返さないために検証を続けていくことが必要だ」と話しています。

菅前首相“無条件で公開すべき”

菅前首相“無条件で公開すべき”

民主党の菅前総理大臣は、青森県六ヶ所村で記者団に対し、「飛行機事故の場合のボイスレコーダーにも匹敵する重要な証拠だと言ってきたが、原発事故のさらなる解明のために、全面的に無条件できちんと公開すべきだ」と述べました。
そのうえで菅氏は、「私が映っている場面について、『そこだけ隠してくれ』などと言ったことはないし、ぜひオープンにしてもらいたい。私が3月15日に東京電力の本店を訪問した時の画像は残っているが音が残っていないというのは、あまりにも不自然ではないか。私は音もどこかに必ずあると思っており、公開してもらいたい」と述べました。

[関連ニュース]
このページの先頭へ