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PJ: 藤倉 善郎

X JAPANのTOSHIがサイエントロジーとコラボ?(上)
2009年10月18日 15:57 JST


サイエントロジーの教材(撮影:藤倉善郎、10月15日) 

【PJニュース 2009年10月18日】10月19日、東京・新宿文化センターで、フランスのピアニストであるシプリアン・カツァリスとX JAPANのヴォーカリストTOSHによる講演とコンサート「芸術、その無限のパワー」が開催される。実はこのコンサートの主催者が、国際的に批判を浴びている宗教団体「サイエントロジー」と深い関係があるようなのだ。

サイエントロジーは、L.ロン・ハバードの教えに基づき1954年に米国ロサンゼルスで創設された宗教団体。「神」などの存在を具体的に設定せず、公表されているだけでも70以上あるカウンセリングコースを信者向けに開催している。公称信者数は全世界で800万人。海外では違法な営利団体であるとの批判も根強く、たとえばフランスでは「反セクト法」による規制対象に定められており、詐欺容疑で起訴され公判中だ。

コンサートの主催者「ヴァリアント・ユニヴァーシティ」(三輪有子校長)は、ロスの「ハバード・カレッジ」の日本支部にあたり、サイエントロジーの教祖L.ロン・ハバードの教えを基にした教育団体であると。三輪校長もコンサート出演者のカツァリス氏もサイエントロジー信者。カツァリス氏にいたっては、2004年の来日時に、自分のファンにまでサイエントロジーの書籍購入を勧めていた筋金入りの“広告塔”だ。サイエトロジー東京の広報担当者が言う。

「個人の信仰についてはコメントを控えさせていただきますが、ヴァリアントとサイエントロジー教会は別組織です。共通点としては、L.ロン・ハバード氏の技術を用いている点です。L.ロン・ハバードは、サイエントロジー宗教の創設者であると同時に、企業経営、教育、芸術、などの分野について多くの技術を開発しました。その中の精神的なテーマを人々に伝えていくのがサイエントロジー教会であり、宗教以外の経営、芸術、教育等の技術を扱うのがヴァリアントです。サイエントロジー宗教を通してL.ロン・ハバードの技術に触れ、益を得た人の中には、その多方面に渡る他の技術も学ぶことに意欲的に取り組む人もいます。そういう意味において、個人的なレベルにおいてつながりはありますが、関連組織ではありません」

海外での批判については、こうだ。

「海外での規制や訴訟については、全ての実情を把握しているわけではありませんが、フランスやドイツにおける歴史的背景には、サイエントロジー教会のみならず少数派宗教への不寛容や弾圧という問題が存在します。サイエントロジー教会は長年人権侵害の問題に取り組んできました。不当な処遇について積極的に声を上げ、時には抗議デモなどを行うため、風当たりは強いのではないでしょうか」(広報担当者)

一方、サイエントロジーの被害者からの相談を何度も受けた経験を持つ佐々木大介弁護士は、「海外でのサイエントロジー批判は差別ではなく、悪質な被害例が現に存在し、それが国際的に問題視されていることが理由」だと指摘する。

「私が相談を受けた事件に限って言うと、被害額は数十万円から数百万円まで幅があるのですが、中には、1000万円以上払わされた方もいました。コースの全容やトータルでかかる費用、コース全体の修了に要する年月について明確に説明しないまま、とうてい修了しえない数のカウンセリングコースや膨大な分量の教材、高価な器具のためにお金を払わされる例が多くみられます。職場まで押しかけられたり、長時間にわたって執拗な勧誘をされた方もおり、非常に悪質です。加えて、問題なのは、サイエントロジーに対して疑問を抱いたり退会を申し出た会員に対し、『退会するための手続きが必要』などと称して、さらにカウンセリングを受けさせたり新たなコースを申し込ませるなどして、会員個人での退会や返金手続きを事実上非常に困難にしていた点です」(佐々木弁護士)

佐々木弁護士によれば、被害者の大半は、書店などでハバードの著作(『ダイエネティックス』など)を読み、「自己啓発本にもとづく性格分析」という程度の認識しか持たないままサイエントロジーに接触。多額の被害をこうむったのだという。サイエントロジー側はこう反論する。

「サイエントロジーでは、こちらが提供している宗教カウンセリング、書籍購入などについて、不満があるという方には、ある条件に沿って払い戻しを行っています。少数ではありますが実際に払い戻しを受けた方はいらっしゃいますし、日本では訴訟も起こされていません。個人間の問題解決や返金の相談に対応する部署があります。われわれの側に問題があるのなら、きちんと対処していきたいと考えています。多くの会員はサイエントロジーによって日々恩恵を受けていて満足していますし、自分自身の人生を向上させています」(前出・広報担当者)

しかし信者が簡単に払い戻しを受けられるのであれば、弁護士に複数の相談が寄せられることは考えにくい。

「私が相談を受けた被害者について言えば、サイエントロジー側は、退会や返金を希望しても手続きの方法を具体的に説明せず、自力でお金を取り戻すことを著しく困難にしていました。日本ではあまり知られていないようですが、今後、サイエントロジーの被害が顕在化してくると思います。今回のコンサートがきっかけとなって、サイエントロジーのさらなる被害者が出ることを懸念しています」(佐々木弁護士)

これだけで十分に「要注意」のコンサートだが、カツァリス氏と共演するTOSHIの問題も忘れてはならない。彼が広告塔を務める自己啓発セミナー「ホームオブハート(HOH)」は2004年に児童虐待問題が発覚し、その際、児童相談所がトシの音楽事務所「トシオフィス」からも子どもを保護。さらにHOHは「受講生をマインドコントロールして多額の金銭を支払わせた」として元受講生から提訴され、トシオフィスとともに地裁・高裁で2連敗中である。【つづく】

■関連情報
やや日刊カルト新聞
サイエントロジー・ビデオチャンネル
ヴァリアント・ユニヴァーシティ
ホームオブハートとToshi問題を考える会

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