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6月の講座 基本功「圧腿」 vol.3   
基本功とは武術基本であり武術の套路を練習するときになくてはならないものです
言い換えれば、基本功を練習するために套路が出来たといってもいいほどです。

基本功の中にもいろいろ種類があり、一つ一つ覚えるだけでも大変ですが、武術の
基本功は最新のスポーツ理論に照らしても引けを取らないほど合理的で完成された
システムと言えるでしょう。

主な基本功の種類は次のようになっています。

1.「 圧腿 」ya tui
2.「 踢腿」ti tui
3.「 歩型 」bu xing
4.「 歩法 」bu fa
5.「 手型・手法 」shou xing・shou fa
6.「 平衡 」ping heng
7.「 跳躍 」tiao yue
8.「 跌撲滾翻 」die pu gun fan

今月はこの中から「圧腿」について解説していきましょう。                イラストはカンフー寺「ウサギの恩返し」より


「圧腿」ya tui
圧腿(ya tui・ヤートゥイ)は武術を始めようとする人が最初にぶつかる難関です。
圧腿とは文字通り、脚をおさえて脚の筋肉、腱、関節を柔軟にしていく方法です。
脚を柔軟にすることによって蹴りなどの活動範囲を大きくしていくことが出来ます。

圧腿はいわば中国式ストレッチで、靱帯関節を伸ばすことによって内蔵を丈夫にする
という効果もあるようです。
また、圧腿はダイナミックストレッチに分類されるアクティブな物なのでバランス感
覚の強化や筋力トレーニングの効果も期待できます。

圧腿の種類には、側圧腿、正圧腿、仆歩圧腿、弓歩圧腿などがあります。


「側圧腿」ce ya tui
側圧腿は主に大腿部、大腿二頭筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などの靱帯を
柔軟にするための圧腿です。
側圧腿をすることによっての側や外擺腿の動作が容易に出来る
ようになります。

■側圧腿の練習方法
1適当な台や壁に対して横に向き軸足のつま先を約45度開いて立つ。
2脚をその台か壁にあげる。
3上げた脚の膝を伸ばすように手で脚を押す。
4腕を高く挙げ、もう一つの手を脇に付ける。
5上げた脚の上に身体を倒していく。
6つま先が後頭部に付くように近づける。

■側圧腿の要求点
1側圧腿の時には背筋をまっすぐ伸ばす。
2つま先を引き起こす。
3膝を曲げない(両足とも)
4腕を高く上げて横に向けて上体を倒す
5側頭部をつま先に付けに行く

■間違いやすい姿勢とその直し方
1膝が曲がってしまう、姿勢が崩れる場合
○最初に柔軟体操を十分におこなう。
○また圧腿を練習する時にはある程度痛みを伴うことを理解する。
○足を上げる台の高さは無理をせずに楽に上げられる高さにする
○足首の柔軟を十分におこなう


「正圧腿」zheng ya tui
正圧腿は主に大腿部裏側の大腿二頭筋、下腿三頭筋(腓復筋)などの靱帯を柔軟にするための圧腿です。
正圧腿をすることによって、正や二起脚、劈叉の動作が容易に出来るようになります。

■正圧腿の練習方法
1適当な台や壁にまっすぐ向かって立つ
2脚をその台か壁にあげる。
3上げた脚と反対の手でつま先を持ち、逆の手で膝を伸ばすように押す。
4上げた脚の上に身体を倒していく。
5つま先が額に付くように近づける。

■正圧腿の要求点
1正圧腿の時には背筋をまっすぐ伸ばす。
2つま先を引き起こす。
3膝を曲げない(両足とも)
4腰を引かず台か壁に向ける
5額につま先に付けに行く
6額に付く人は顎につけに行く

■間違いやすい姿勢とその直し方
1膝が曲がってしまう、姿勢が崩れる場合
○最初に柔軟体操を十分におこなう。
○また圧腿を練習する時にはある程度痛みを伴うことを理解する。
○足を上げる台の高さは無理をせずに楽に上げられる高さにする
○足首の柔軟を十分におこなう

2腰が引けてしまう、背筋が曲がってしまう
○最初は低い高さから始める
○つま先に手が届かない場合は両手とも膝でよい。


「仆歩圧腿」pu bu ya yui
仆歩圧腿は主に大腿部内部の内転筋、恥骨筋の靱帯を靱帯を柔軟にするための圧腿です。
仆歩圧腿をすることによって仆歩の歩型はもちろん、の端腿、跳躍の騰空擺蓮の動作が容易に出来るようになります。

■仆歩圧腿の練習方法
1片足を完全に曲げてしゃがみ込み、もう一方の脚をのばし仆歩の姿勢になる
2仆歩の姿勢で伸ばした脚の膝を下に、曲げた脚の膝を外に押す。
3腕を伸ばし、曲げた脚に向けて上体を倒していく。

■仆歩圧腿の要求点
1膝を曲げて、腰を十分に下げる
2のばした方の膝は曲げないこと
3両足の裏は完全に付ける
4曲げた膝は約45°外に向ける
5上体を倒すときは足の上に向かって倒す

■間違いやすい姿勢とその直し方
1膝が内側には行ってしまう
○股関節の柔軟を十分に行う
○仆歩の姿勢で膝を手で押す

2腰がしたに落ちない
○足首の柔軟を行う
○なにかにつかまって仆歩の姿勢をとる

3上体が足に向かわず前に倒れる
○仆歩の姿勢で腰が曲がらないように注意する。
○無理に倒さずのばした足を下に押す


「弓歩圧腿」gong bu ya tui
弓歩圧腿は主に大腿前部の大腿四頭筋の靱帯を柔軟にするための圧腿です。
弓歩圧腿をすることによって弓歩の歩型、壁叉が容易に出来るようになります。

■弓歩圧腿の練習方法
1前足を完全に曲げて立ち、もう一方の脚を後ろにのばし弓歩の姿勢になる。
2背筋をまっすぐに立て、手を当て腰を押す。
3後ろ足のかかとは地面に付けても付けなくても、どちらでもよい

■弓歩圧腿の要求点
1上体を前に倒さないように注意する。
2太ももの前側を伸ばすことに意識する。

■間違いやすい姿勢とその直し方
1膝が曲が曲がり上体倒れる場合
○腰を十分に引き起こす


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