同級生から受けたという、壮絶ないじめ。生徒の腕には、「根性焼き」と言われる、たばこを押しつけられた痕が、20カ所以上残されていた。さらに、学校側は、被害生徒に自主退学を求めてきたという。被害生徒は「『根性焼きやらないと、もう友達やめるぞ』とか。『お前が根性ないこと、ばらしてやる』とか、そういうこと言われて。そいつが、一番仲良かったので、裏切られるのがすごく怖いなって」と語った。「根性焼きが友達の証し」だと言われ、腕を押さえつけられたという16歳の男子高校生。その腕を覆っていたガーゼの下には、火のついたたばこを押しつけられた無数のやけどの痕が残されていた。この根性焼きは、全部で23カ所にも及んでいた。被害生徒の母親は「(根性焼き)19個までは入れたんですね、1回。そのあとに、『たばこがなくなった』と言って、その子(加害者)が買いに行って、また4カ所入れて」と語った。被害生徒は「痛かったですね。正直、やりたくなかったです」と語った。2011年11月ごろ、宮城・仙台市の私立高校に通う男子生徒が、複数の同級生から、殴るけるなどのいじめを受けるようになった。その様子を目撃したという生徒は、「肩パンチとかされているところは、見たことあります。ちょっと一方的だった。(被害生徒は)笑ってましたけど、作り笑い」と語った。そして2012年5月、1人の加害生徒の家に呼び出された男子生徒は、腕に根性焼きを入れられたという。その後、精神的にも肉体的にも学校に行けなくなったという男子生徒と両親は、6日、警察に被害届を提出した。受理した警察は、傷害容疑などで捜査を始めている。そして、男子生徒の母親によると、この根性焼きに関し、学校側が驚きの対応を見せていた。学校側は、被害生徒に自主退学を求めた。その理由は、「腕の傷がほかの生徒に動揺を与える」というものだった。被害生徒の母親は「わたしは『撤回してください』って言ったのですが、(学校側は撤回を)『いやあ、ちょっと今、決められない』と」と語った。いじめ被害を受けた男子生徒に対して、自主退学を求めてきたという学校側。学校の関係者は、この対応について「クラスの中で、(被害生徒が傷を)見せびらかす。それについて、不快な思いをしたという生徒も多数います。『自主退学を勧めます』。そういうふうに伝えました」と語った。7日、FNNの取材に応じた男子生徒の母親は、こうした学校側の対応について、「(学校側は)『この件については、意見は受け付けません』と。ただ、退学届を8月6日に持ってきてくださるのであれば、自主退学ということになりますが、退学届を持ってこなければ退学、強制退学ですね、そういうふうに言われたんです。正直言いまして、理不尽すぎますし、隠蔽(いんぺい)かなって」と語った。いじめを受けた側が退学を迫られるという学校側の対応に、専門家は「私立校では、よくある対応だ」と批判している。教育評論家の尾木直樹氏は「(退学を求めた対応は?)これは、あり得ないですよ。天地がひっくり返ったほどの論理であって、被害者を守るのが基本線です」と語った。また、これまで尾木氏のもとに寄せられたいじめの相談は、圧倒的に私立校からのものが多いと話している。尾木氏は「いじめの相談に乗ってきて、90%以上が私学です。公立と私学のいじめ問題で、どちらが根深いかと言ったら、私学です、明らかに。(一般に)経営優先。その学校が守らなきゃならない名誉などがある場合、被害者を転校させるというのは、はっきり言ってざらにあります」と語った。学校側は、取材に対し、今後、調査委員会を立ち上げ、いじめの可能性を否定せず、再検討したいと話している。
Copyright ©Fuji News Network. All rights reserved.