サッカーにまったく興味がなかった筆者が、ここ2〜3年で急にサッカー好きになったのは、なでしこを始めとする日本チームの活躍もあるが、何を隠そうEAスポーツが出しているサッカーゲーム「FIFA」シリーズのiPhone/iPad版があまりに面白くてハマってしまったからだ。
それ以来、日本でもトップ10%入りできるくらいの回数をプレイし続けている筆者だが、1ファンとしてエレクトロニック・アーツ(以下、EA)にラブコールを送り続けていたところ、来日していたEAカナダのシニア・バイス・プレジデントであるMatt Bilbey氏にインタビューする機会を得た。
また、GREE Platform Award 2012で殿堂入りを果たし、250万人以上がプレイしているGREE版「FIFAワールドクラスサッカー」を開発するPlayfishJapanシニアプロデューサーの里吉洋樹氏にも話を伺うことができた。今日も筆者を虜にしてやまないこのサッカーゲームは、今後どんな展開を見せてくれるのだろうか(聞き手:林信行)。
―― 元々ゲーム機も持っておらず、実はサッカーにもそれほど興味がなかった私ですが、iPhone版のFIFAに衝撃を受けた後、iPad版でさらに衝撃を受け、ゲームを通して一気にサッカーが好きになってしまいました。
Bilbey そういう人は非常に増えています。ヨーロッパでは、このFIFAのゲームの広告に、マンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーを始め、世界的サッカープレーヤーが登場しており、このゲームがサッカー選手たちに大人気なことは有名ですが、ちょっと面白い話もあります。
最近、アンドリュー・ラックというアメリカンフットボールでトップクラスの選手が、EAスポーツの「Madden NFL」というアメフトのゲームのプロモーションイベントに参加したときのことでした。イベントでは当然、ジャーナリストたちから「Madden NFLは好きなの?」といった質問が行われました。しかし、驚いたことに彼は「いいや、FIFAのほうが好きだね」と答えたんです(笑)。彼は元々ドイツに住んでいた時期があり、サッカーが好きだったようです。それ以外でも、NBA(National Basketball Association)のトップ選手であるスティーブ・ナッシュもFIFAのファンですし、有名ミュージシャンにもFIFAのファンは大勢います。
少し前まで、アメリカではサッカーゲームをやっているというと変人扱いされてしまうので、影に隠れてコソコソとプレイしていたものです。それがこの間のワールドカップあたりから風向きが変わってきました。今やアメリカでも、多くの人が堂々と人前でサッカー好きをカミングアウトし始めています(笑)。実際、2011年に「FIFA 12」が最も売れた国は、なんとアメリカ合衆国でした。
―― それはビックリですね。日本を含め、ほかの国はどうでしょう?
Bibey 2位はイギリスで、3位はドイツ。すべてのFIFAのゲームをカウントすれば日本はトップ5に入るはずです。いずれはナンバー1になるのではないかと期待しています(笑)。ただ、そのためにはもっと日本のFIFA好きに「FIFAをプレイしているんだ」と声を上げてもらう必要がありますね。実際にはJリーグの選手もウチのゲームを愛用してくれている人が大勢いるので、そうした話題がもっと表に出ればいいな、と思っています。
―― 日本では昨年来、「なでしこJAPAN」が人気です。女子サッカー版FIFAを作ろうという計画はないんですか?
Bibey それももちろん検討したことがあって、スウェーデン、イギリス、アメリカ、ドイツで市場調査をしてみたことがあります。ただ、みんな「女子サッカーのゲームが欲しい」とは言うけれど、「それじゃあ女子チームになってプレイしてみたい?」と聞くと、あまりそうは思わないみたいで、「やっぱり、マンチェスターユナイテッドがいい。バルセロナがいい」と男子チームの名前ばかりを挙げます。
なでしこといえば、私は2012年の1月に、FIFA本部のあるスイスのチューリッヒで彼女たちを見ることができました。2011年の年間表彰式が行われたとき、女子最優秀監督賞を受賞したのが、2011年の女子ワールドカップドイツ大会で初優勝したなでしこジャパンの佐々木則夫監督でした。また、「FIFA バロンドール」(最優秀選手賞)は主将の澤穂希選手が見事に受賞しています。日本に起きた災害などを乗り越えてあれだけの大活躍をしたんだ、と考えると本当に心が震えました。もしかしたら、日本だけ特別に女子サッカー版FIFAを作ったほうがいいかもしれませんね(笑)。
―― 是非、検討してみてください。
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