「私の手には電気棒(スタンガンの一種)が握られていた。私から拷問を受けた男性は悲鳴を上げた。4時間にわたって公安職員(警察官)4人から電気拷問を受け、足で踏まれたその男性はついに口を開いた。自分は朝鮮人であり、どうか朝鮮(北朝鮮)には送り返さないでほしいと」
1日午後、ソウル市鍾路区孝子洞の中国大使館前で会った1人の男性は泣きながら語った。黒い公安の制服を着た男性は、1995年8月から2002年4月まで、中国遼寧省瀋陽市和平分局西塔派出所の公安職員を務めていた朝鮮族(朝鮮系中国人)の李奎浩(イ・ギュホ)さん(41)=写真=。当時の職員番号は「106710」。派出所があった西塔地域は「コリア・タウン」と呼ばれるほど朝鮮族が集まっており、脱北者も多かった。
李さんは派出所に勤務当時、中国人3人と脱北者1人に電気拷問を行ったと告白した。李さんは自分を「罪人」と呼んだ。
1996年12月、李さんはあるレストランに不審な従業員がいるとの情報で調査に乗り出した。30代後半の男性従業員は、身分証を持たず、いかなる質問にも黙して答えなかった。瀋陽市公安局は当時、脱北者を検挙すれば、勤務評価でボーナス点を与えていた。李さんは同僚3人と共に、男性従業員を派出所内部の部屋に連れていった。中国語が全く分からない男性は、脱北者だということは確実だった。
李さんは男性の服を脱がせ、手足、腹、顔など全身を長さ40センチの電気棒で殴った。電気棒には高圧電流が流れ、使用すると「パン」という音とともにスパークした。男性は電気棒が体に当たると悲鳴を上げた。
李さんら公安職員4人は、男性を取り囲んで、一斉に足で踏みつけた。4時間にわたって拷問を受けた男性は、朝鮮語で「どうか殴らないでください。私は朝鮮人です。どうか朝鮮には送り返さないでください。助けてください」と話した。