記者: MARK JOHANSON、翻訳者: 加藤仁美 | 2012年8月4日 04時19分 更新
五輪不況に苦しむロンドン、ビジネスの金メダル獲得なるか
同じシナリオが続く
五輪を主催するのはギャンブルであり、新しい施設や既存のインフラとセキュリティをグレードアップするために費用をかけると、非常に高額になる。例えば、2004年のアテネ五輪には16億ドルが必要と予想された。しかし実際の費用は予想の10倍かかり、ギリシャの現在の経済危機に結びついている。アテネでは当時、毎晩少なくとも10万5,000人の宿泊を期待したが、実際には1日平均1万4,000人程であった。
2008年のシドニー五輪では、大会中に13万人の観光客を動員との目標を設定した。結局、観光客数は9万7,000人で、その後数年にわたり観光旅行の成長は見られなかった。
この問題に関してロンドンは、以前のどのオリンピックよりも多い、1日10万人が訪れることを目指している。しかし、ヨーロッパのツアーオペレーター協会は、通常の夏のピーク時の30万人をも下回るのではないかと見ている。
ロンドン塔や大英博物館のような主要観光アトラクションを統括するビジター・アトラクション協会は、2011年に比べてここ2週間の訪問客数は3分の1も減少していると述べた。また調査会社エクスペリアンは、ロンドン中心部の店の客数は、7月末時点で前年同期比約12%減であることを明らかにした。オリンピック会場がある東部ロンドンでも、ショッピングは7.5%減少した。
タクシー運転手の団体のスティーブ・マクナマラ(Steve McNamara)書記長は、売上げはおそらく40%ほどダウンしているだろうと言う。同氏はスカイテレビで「通常、私たちの客の約90%はロンドン市民だ。しかし、市民は皆ロンドンを離れていて、観光客がその代わりをしているわけではない」と述べ、「これらのすべての観光客が、どこにいて、どのように動いているのかはわからないが、ロンドンはゴーストタウンだ」と語った。
経済学者は、五輪のためのすべての建設作業と投資が完了した後、オリンピックが、不況に見舞われた英国経済の後押しするとは思えないと長年にわたり警告してきた。現在、これらの経済学者が正しかったことが明らかになりつつある。
それでも、オリンピックを支持するために言わなければならない。オリンピックは国家のプライドを高め、ブランドとして都市を促進し、世界中の人の心にロンドンという場所を刻む。観光数値が減少傾向にあった都市に、その後も悪影響が残ると主張するのは難しい。
英政府は1日、「総括的な展望を判断することは重要である」と声明を発表した。「五輪は、長年にわたりロンドンが利益を享受するためのグローバルな宣伝活動だ」と主張した。実際に多くの地元当局者が主張していることだ。貿易と観光の面での「計り知れない」利点は増加し、彼らが言うには、今後数年にわたり英国の利益になる。
ジョン・ペンローズ(John Penrose)観光・文化・遺産大臣も楽観的である。CIT誌によると、ペンローズ大臣は「私はオリンピック後に、この地域が活性化されることを願っている。人々が大会運営は成功したという結論を下すことを願い、期待している」と述べた。
この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
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