オリンピック開会式の話題をさらった、エリザベス女王ご本人が出演のショート・フィルム “HAPPY & GLORIOUS”。
“Good evening, Mr. Bond.” −“Good evening, Your Majesty.”
「女王陛下の演技は一発でOKだった。 頭が切れ、同じ事を二度繰り返して言う必要はなかった。 007とのからみも絶妙だった」 と、ダニー・ボイル監督。
女王に文字通り『一役買ってもらう』というのは、ボイル監督のアイディアだった。 このアイディアをロンドン・オリンピック委員長のセバスチャン・コーに持ちかけると、コーも乗り気になった。 アイディアは女王の側近に伝えられ、側近も熱心に聞き、笑って『ボス』に訊いてみると約束してくれた。 そして女王陛下は即座に快諾。 女王が出した唯一の条件は、自分が着る服は自分が選ぶこと。 そして、サーモン・ピンクのワンピースと相成った。 女王はカメラの前での生まれて初めての『演技』を、心から楽しまれた様子だったそうだ。
“共演”したコーギーたちも実際の女王のペットで、うち一頭は元々は母君クイーン・マザー(2002年に101歳でご逝去)が飼っておられたモンティー(13歳)。
ヘリコプターに乗り込んだり、ヘリの中でダニエル・クレイグの隣に座っている場面での女王を演じたのは、TVシリーズでミス・マープルを演じていることで知られる女優のジュリア・マッケンジー。 (もしかしたら、宮殿を出る後姿もこの女優さんだったかも。)
そしていよいよクライマックス! 女王の代わりにヘリコプターからパラシュート・ジャンプしたのは、43歳のスタントマン、ギャリー・コネリー。 ジェームズ・ボンドとしてヘリから飛び降りたのは、41歳の同じくスタントマン、マーク・サットンだった。
開会式の晩、女王陛下と同じワンピースに身を包んだコネリーと、ジェームズ・ボンドのスーツを着込んだサットンは、エセックス州のステープルフォード飛行場に車で乗り込んだ。 午後8時50分、ヘリは離陸。 スタジアム上空に着いたヘリは上空240mで空中停止し、出番が来るとコネリーとサットンは飛び降り、150mまで下降してパラシュートを開き、方向を調節してオリンピック・スタジアム近くの橋に無事着地した。
大役を無事務め上げて満足なコネリーだが、唯一残念なのは、女王陛下のワンピースを記念にもらえなかったこと。 「あれ着て飲みに出かけたらウケただろうになぁ」 ・・・ ・・・
二人の子持ちのコネリーさん。 女王役もお似合いでしたが? 普段はこんな感じです。
開会式に関して感想を求められた女王は、「ワンダフル!」とお答え下さったそうで、気に入っていただけた模様です。 本当に一風変わっていて、ユーモアがあって、しかも洗練されていて、すばらしい開会式でした。 イギリス人の底力を見た気がします。
まだまだ、やればできるじゃん! 『腐っても鯛』だぞイギリス! (←って、偉そうに・・・ しかも褒め言葉になってないって)
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《オマケ》 開会式の途中に捕えられた、浮かない表情の女王陛下。 勝手に面白い字幕をつけたその写真が、ネットで出回っています。
女王陛下はユーモアを解する寛大なお心をお持ちなので、許して下さることでしょう。
そうそう上左の写真を見て思い出しましたが、夫君のエディンバラ公、すっかりお元気になられて開会式にも出席できて、本当によござんした。