大学教育に関心が芽生えてきたので手に取った中嶋嶺雄「なぜ、国際教養大学で人材は育つのか」。こんな大学があったんですね。
1. 就職率100%
国際教養大学の就職率は、2007年度100%、2008年度99.1%、2009年度100%、2010年度100%と極めて良好、順調に推移しています。
名前も知らない大学でしたが(途中まで、国際基督教大学と勘違いしてました…)、なんだかすごい就職率だそうです。人材は皆優秀で、三菱商事、住友商事、丸紅などなどの一流企業の担当者が、わざわざ訪れて企業説明会を行うほど。
2. 秋田にある
国際教養大学は、なんと秋田にあります。秋田にある理由については、
まず、このうえなく自然が美しい。(中略)国際教養大学の教員は半数以上が外国人ですが、「まるでウィーンの森のようだ」「ニューハンプシャーのようだ」と言って喜んでくれます。まわりに、何もないのもいい。
「これまでの人生で、これほど勉強したことはなかった」
卒業するとき、学生たちがそう思えるほど教養教育と格闘するには、まわりにスーパーもコンビニもないような、何もない環境の方が、勉強に集中できていいのです。
と綴っています。羽田空港から50分、秋田空港からは車で5分という好立地だそうです。
3. 授業はすべて英語
「国際」教養大の名を冠するだけあって、授業は全て英語。
国際教養大学は、「英語を学ぶ大学」ではなく「英語で学ぶ大学」です。在学中はすべての授業が英語で行われます。このため、入学すると最初に「英語集中プログラム(EAP)」で、英語の運用能力を徹底的に学びます。
4. 少人数教育
これは素晴らしいですねー。大教室の授業はなく、基本的に少人数授業だそうです。
・学生専任教員比率は15:1
・学生数が50人以上の授業比率は2.3%
・学生数が20人未満の授業比率は78%
・一科目あたり平均登録登録学生数は15.3人
少人数授業はそれだけ厳しいですが、しっかり学びたい人にとっては最高の環境になります。
5. 海外留学を義務化
すべての学生に、在学中のいずれかの時期に、一年間の海外留学が義務づけられています。2010年11月時点で、31カ国111の大学へ留学できるとのこと。
留学要件は厳しく、TOEFL550点以上がノルマとなっています。スコアが伸びなければ、留学も卒業もできません。
6. 新入生は外国人留学生と一年間寮生活
新入生の寮生活も義務づけられています。寮には100人以上の外国人留学生が済んでおり、海外留学の予行演習として機能しているとのこと。
「いまどき、なぜ学生寮?」と思われるかもしれなせんが、それも大切な国際教養教育の一環と考えています。キャンパスに「世界の縮図」の異文化共生空間を創造し、日常的に、国境を越えた異文化体験をしてもらうのが目的だからです。
7. 厳しい卒業要件。4年でストレート卒業できるのは50%
日本の一般的な大学は「入っちゃえば楽」ですが、国際教養大学はそんな甘くありません。
国際教養大学では、このGPAで進級や卒業の可否を判断しています。四期連続でGPAが2.00を下回った場合はアドバイザーとの定期的面談が義務づけられ、向上しない、意欲が見られないなどの場合は休学や退学勧告になることもあり、運用はシビアです。
4年でストレートに卒業できる学生は、全体の50%にとどまるそうです。ちなみにこの水準はハーバード大学と同じ程度とのこと。
8. 24時間365日使える図書館
「いつでも勉強できる場を用意したい」という思いから、国際教養大学の学生用図書館は24時間365日開館しています。うーん、素晴らしい…。
9. 入試の難易度は東大京大レベル
クチコミで人気が広がり、すでに入試難易度は日本最高峰となっているそうで。模試の種類によっては、東大・京大に並ぶ難易度にランクされることも珍しくありません。
10. 開学は2004年のスーパールーキー大
国際教養大学の開学は、なんと2004年。まだできて8年しか経っていないピチピチ?の大学です。
既に高い評価を得ており、たとえば「サンデー毎日」が行った2010年の調査では、
・小規模だが評価できる大学:1位
・国際化教育に力を入れている大学:1位
・入学後、生徒を伸ばしてくれる大学:3位
・教育力が高い大学:4位
となっています。
というわけで、日本にこんな大学があることに驚き。子どもにはこんな教育を受けさせてあげたいなぁ、という感じ。これからはグローバル人材であることはもはや必須となるでしょうから、こういう教育へのニーズはますます高まってくると思います。
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