上山春平さん
天皇制論や照葉樹林文化論、さらに空海から西田幾多郎の哲学まで、様々な領域で挑戦的な問題提起を行った哲学者で文化功労者、京都大名誉教授の上山春平(うえやま・しゅんぺい)さんが、3日午前11時6分、パーキンソン病のため京都市内の自宅で死去した。91歳だった。葬儀は親族のみで行った。喪主は次女あゆみさん。
1921年、台湾生まれ。京大哲学科を繰り上げ卒業し、海軍に入隊、人間魚雷「回天」の特攻隊員になった。45年6月、米艦に向けて発進する寸前までいった。このときの体験を核に仏教と西田哲学をベースにしながら、「国家とは何か」が生涯の研究テーマになった。
戦後は主に京大人文科学研究所で活動、68年に教授。所長で84年に退任。その後、京都国立博物館館長や京都市立芸術大学長を務めた。