'12/8/7
シリア首相が政権離反 反体制派へ、アサド政権に打撃
【カイロ共同=土屋豪志、津村一史】内戦状態に陥ったシリアのヒジャブ首相は6日、中東の衛星テレビ、アルジャジーラを通じて「残虐なアサド政権に加担することを拒絶する」との声明を出し、政権を離反し反体制派に加わったことを明らかにした。アルジャジーラによると、ヒジャブ氏は家族と共にヨルダンへ出国した。
シリアでは軍人や外交官の離反が相次いでおり、今回は政府要人としては最高位の離反。アサド政権は圧倒的な軍事力で反体制派への武力弾圧を続けているが、政権内の亀裂が露呈した形で、政治的ダメージは大きい。
シリア国営テレビは6日、ヒジャブ氏が解任され、ガラワンジ地方自治相が暫定首相に指名されたと報じた。解任の理由などの詳細には言及していない。同氏は6月下旬に首相に就いたばかり。
また、国営テレビが入る首都ダマスカス中心部のビルでは6日、爆発があり、少なくとも3人が負傷。同テレビが報じた。警備が厳重な国営テレビ局での爆発はアサド政権に動揺を与えそうだ。
ゾウビ情報相は6日、共同通信の電話取材に「混乱は起きていない。いかなる勢力がわれわれを黙らせようとしても、放送を続ける」と強い姿勢を示した。
反体制派は7月中旬からダマスカスへの攻勢をかけ、中心部の爆弾テロでラジハ国防相ら政権中枢の要人4人が死亡。事件を受け政権側は軍事作戦を強化、今月4日にはダマスカスの反体制派の掃討をほぼ完了した。
北部の第2の都市アレッポでは、市街地の広範囲を制圧した反体制派を政府軍の大部隊が包囲、戦闘機や戦車などを投入した大規模掃討作戦で反体制派の壊滅を図っていたが、首相の離反により、反体制派側が勢いづく可能性もある。