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2012年7月26日21時59分

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いじめられている君へ

《いじめられている君へ》安西水丸さん

写真:安西水丸さん拡大安西水丸さん

■本当は強くない連中だ

 小学6年生だったかな。中学生3人にいじめられました。理由も分からず殴(なぐ)られて。悔(くや)しくてね。

 暗闇(くらやみ)でリーダーの子を待ち伏(ぶ)せしたんです。堅(かた)いビワの枝を持ち、塀(へい)の陰(かげ)に身を隠(かく)して。まんまと1人で現れたので、足のすねに思い切り枝を打ちつけた。さらにもう一撃(いちげき)と思ったら、彼が悲鳴をあげたんです。

 「ああ、この程度のやつなんだ」って思った。彼は二度と僕(ぼく)を殴ってこなかった。いじめをやめさせるには肉体的な恐怖(きょうふ)心を与えるのが一番。自転車で体当たりしたっていい。「あいつにはとんでもない仕返しをされる」と思わせるんです。相手が卑怯(ひきょう)なんだから卑怯な手段でもいい。

 と言ってはみたが、今の時代、暴力はまずいです。何が言いたいかって、本当に強い子はいじめなんかしないんです。いじめる子って不良にもなれない中途半端(ちゅうとはんぱ)な連中。こちらの仕返しに反撃(はんげき)する根性もない。気持ちで負けないでほしい。

 大人の対応を考えよう。実は大人にもいじめはあります。僕も会社員だったころ、口をきかないとか、郵便物(ゆうびんぶつ)を捨てるといったいじめをたくさん見てきた。

 大人の処世術(しょせいじゅつ)の一つに「嫌な相手でも、いいところを見つけてほめる」ってのがある。相手に利益(りえき)を与えずしてこちらに利益はない。これは子どもでも使えるんじゃないかな。

 「その帽子、格好いいね」と外見をほめるだけでもいい。ほめられたら悪い気はしないから。心の中ではアカンベーをしていればいい。相手をよく観察し、どうコミュニケーションをとるか考える。それをきっかけに打ち解けられるかもしれない。僕は、今でもこれで通用してますよ。(あんざい・みずまる=イラストレーター)

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