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リストラに踏み切るシャープ、事業再編で「新しいテレビを」

シャープが発表した2012年度第1四半期(4〜6月期)決算は、1384億円の赤字という厳しい内容だった。同社は2012年度通期予想の見直しとともに、リストラを含む抜本的な構造改革に踏み込む。

 シャープが8月2日に発表した2012年度第1四半期(4〜6月期)決算は、売上高が前年同期比71.6%の4586億円、最終損益は1384億円の赤字という厳しい内容になった。昨年度の連結決算で過去最大の赤字を計上した同社は、電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、鴻海(ホンハイ)グループとの業務資本提携を軸に復活のシナリオを描いていたが、その間も業績の悪化に歯止めがかからなかった。

ts_sharp001.jpg シャープの奥田社長

 説明会で同社の奥田隆司社長が「業績悪化の主な要因」として挙げたのは、液晶テレビを含む「AV・通信機器事業」と「液晶パネル事業」の2つ。テレビはASEANなど新興国市場での販売は好調に推移したものの、アナログ停波以来の需要減少と中国市場での販売低迷が足を引っ張った。

 一方の液晶パネル事業は、棚卸資産圧縮のために4月から生産調整を行ったことが響いた。堺工場は生産能力の30%程度にまで稼働率を落とし、3月末と6月末の比較で400億円の在庫を圧縮することに成功、さらに200億円の削減を実施する見込みだが、「在庫の消化は予定通り進んだものの、価格下落により追加コストが発生して予想以上の赤字となった」(奥田氏)。

 中小型液晶でも大手顧客(セットメーカー)の収益悪化により受注がずれ込み、やはり工場の稼働率が低下。期待のIGZOはウルトラブック向けなど新規顧客の開拓は進んでいるものの、そのローンチ時期が見込みよりも遅れているという。

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事業部の再編で新しいテレビを

 ホンハイグループの液晶パネル引き取りが始まる第2四半期は、堺工場の稼働率が80%程度まで上がる見込みで、さらに第3四半期以降は外販先の受注拡大なども合わせ、80〜90%程度を維持できる見通し。また中小型液晶では、Windows 8搭載のウルトラブックなどの新しい需要によって状況が改善する見通しを示している。「すでにIGZOパネルの引き合いは多くもらっている」。

 しかし、第1四半期については6月の経営戦略発表会で示した予想も下回り、「一刻も予断を許さない状況」という。このため今回の四半期決算では、2012年度通期予想の見直しとともに、抜本的な構造改革に踏み込むことも明らかにした。

 まず2013年度以降の利益回復に向け、1000億円規模の固定費削減を目指す。これには人件費400億円が含まれ、2013年3月末までに約5000人を削減する計画だ。奥田社長は、「(社長に就任して)3カ月見てきたが、売上げが下がると固定費が重く、断腸の思いでリストラに手を付けざるを得ない。今やらないと次の成長がない」と説明する。

 さらに事業グループの再編、本社のスリム化、栃木工場および葛城工場の縮小も決定した。事業グループは8月3日付けで大きく4つに再編する計画。まずIGZO応用製品の拡充により、新しいデジタルライフを提案する「デジタル情報家電グループ」、プラズマクラスターイオンやLED事業本部を新設してB to B事業の拡大を目指す「健康環境・エネルギーグループ」、オフィスや公共空間へのソリューション提案を行う「ビジネスソリューショングループ」、そしてIGZOの用途拡大や新規顧客の開拓などデバイス全般を扱う「デバイスグループ」だ。このうちデジタル情報家電グループは、従来のAV事業と通信システム事業を統合したものになり、「フュージョン(融合)しながら新しい事業分野を作っていく」という。

 「国内で今のようなテレビを作っても採算が合わない。AVと通信を統合し、“ビヨンドテレビ”、“ビヨンドPC”といった新しい商品を作り出す必要がある。『新しいテレビを生み出していくんだ』という意味で組織を再編する」(奥田氏)。なお、「テレビの国内生産をやめるのか」という質問に対しては、「テレビの定義をどうするかによって変わると思う」とした。

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