第四十七話 VFMW―X000ZS『ライトニング・ガンダム』
インダストリアル・アイランド 第三エリア 第13独立機動艦隊工廠
同日の夜…クーデター阻止作戦『オペレーション・ドラグーン・ランサー』の発動に伴い、機体の最終調整と機動兵器・艦艇に物資が供給され、そこはまさに戦場さながらの雰囲気が漂っていた。
そんな中、旗艦を務める事になった『プロメテウス』には強化改装が施され、この改装によって武装の強化・防御装甲の性能向上・新型推進装置の換装と多岐に渡っている。
その性能は以下の通りとなった。
『プロメテウス』型飛行型機動航空戦艦
全長 725メートル
全幅 205メートル
全高 125メートル
最大速度 マッハ1.25
航続距離 レーザー核融合炉機関のため無限
乗員 3500名(航空要員1500名)
武装 両舷収納式収束陽電子破城砲『オルカーン・ラケーテンMK-Ⅱ』2基
60口径565mm三連装陽電磁粒子砲『アブソリュート・ゼロ』12基36門(両舷上下・艦艇底部2基ずつ、艦艇前方部4基、艦艇後方部2基)
同口径二連装陽電磁粒子砲『アブソリュート・ゼロ』4基8門(艦艇上部、艦艇下部2基ずつ)
艦首553mmミサイル発射管『シュパッツ』12門
艦尾300mmミサイル発射管『フェークライン』54門
両舷収納式70口径225mm単装レールガン『ゲシュペンスト』2基2門
70口径127mm連装速射両用砲『カノーネ・フォーゲル』24基48門
高性能40mm多砲身全自動対空機関砲『イーゲル・シュテルン』36基
機動兵器搭載量 30機
機動兵器用リニアカタパルト 4基
姉妹艦 二番艦『ワルキューレ』(建造中)、三番艦『ジークフリート』(建造中)、四番艦『ニーベルング』(建造中)
説明
第13独立機動艦隊の旗艦であり、艦隊演習で得た教訓を生かして強化改装された艦艇である。
まず、改装点は艦首にあった『オルカーン・ラケーテン』を両舷に移して2基に増やした事で打撃力を上げ、主砲を508mm連装陽電磁粒子砲から565mm三連装陽電磁粒子砲『アブソリュート・ゼロ』(意味は英語で『絶対零度』)に変更した事で毎分毎の発射速度は低下したが、一撃の威力が向上している。艦首のミサイル発射管は20インチ(50.8cm)から21インチ(53.3cm)ミサイル発射管『シュパッツ』(意味はドイツ語で『ツバメ』)に変更し、艦尾には多用途ミサイルを搭載・発射できる300mmミサイル発射管『フェークライン』(意味はドイツ語で『小鳥』)、両舷70口径155mm単装レールガン『ゲシュペンスト』(意味はドイツ語で『幽霊』)を追加し、総合打撃力が強化されている。
武装面だけでは無く、全長・全幅・全高を伸長させ、新型のレーザー核融合パルス推進を搭載した事で、時速が1000km/hからマッハ1.25(時速1595km/h)に向上している。
ちなみに、艦隊演習ではその高性能から第13独立機動艦隊上層部では『プロメテウス』型の建造を決定・建造が進んでいる。艦艇の名前は全てドイツの作曲家ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナーが手掛けた作品に関係しており、二番艦『ワルキューレ』は『ワルキューレの騎行』から、三番艦『ジークフリート』は英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』の主人公から、四番艦『ニーベルング』は『ニーベルングの指輪』から取られている。
整備班長
「おい、物資の搬入作業は終わったか?」
整備兵A
「はい。この物資で最後です」
整備班長
「そうか。この搬入作業が終わった班から自己申告してから帰るように」
整備兵達
「「「「「はいッ!!」」」」」
それから数分後、終わった班から班長に自己申告してから帰って行き、最終的には全ての班が帰って行った。
その夜…第五エリア、機動兵器専用ドックにて……。
??
「はぁ~ッ…」
機動兵器専用ドックの一角に鎮座している一機の機動兵器を見てため息を吐いたのは開発スタッフ兼テストパイロットのフレイ・ヴァルトフルス技術少佐である。
なぜ、ため息を吐いたのかと言うと彼女の目の前にある機動兵器…VFMW-X000ZS『ライトニング・ガンダム』を見ての事である。
この機体の機体番号からしてこれまでの量産型機動兵器やミレニアムシリーズから離れているのだが、それもそのはず。なぜなら、この機体は『真の史上初の機動兵器』にして第13独立機動艦隊の始まりの機体であるからだ。 最初の頃は機動兵器の礎を築いた機動兵器と言う事で話題が絶えないのに、新鋭機動兵器やミレニアムシリーズの登場によって今は誰からも忘れられ、こうして格納庫の片隅で狭々と鎮座しているしかない。
そして彼女はこの機体の開発スタッフにしてテストパイロットであるため、忘れ去られたこの機体を見捨てず、たった一人で整備を続けさらに何とかやり繰りして機体強化等を行っている。
そのためか、この様子を見て整備兵達は彼女とこの機体をこう呼んだ。『生を共にする姉妹』と……。
そんな『ライトニング・ガンダム』の性能は以下の通りとなっている。
VFMW-X000ZS『ライトニング・ガンダム』
全高 18.2メートル
重量 41.6トン
出力 4250kw
推力 15500kg×8(ストライカーパーツ:大型ノズル)
12500kg×8(ストライカーパーツ:中型ノズル)
12500kg×4(肩部ノズル)
12500kg×4(腕部ノズル)
14500kg×4(腰部ノズル)
13500kg×8(脚部ノズル)
14500kg×4(足底部左右2基ずつ)
548000kg(総推力)
センサー範囲 35000メートル
武装 頭部・胸部76.2mm対空自動バルカン砲塔システム『イーゲルシュテルン』4門
背部60口径155mm単装レールガン『テンライ』2門(ストライカーパックに配置)
背部245mm八連装多目的誘導弾『オウカ』2基16門(ストライカーパーツに配置)
肩部70口径105mm単装速射両用砲『ライデン』2門(肩の後ろ側に専用のを装着)
腕部40mm多砲身ガトリングシールド『シデン』2基(左右のアタッチメントに装着)
腰部630mmバックパック兼用レールガン『シュペール・ヴァリアブル・キャノン』2門
脚部125mm四連装グレネードランチャー『ドラッヘ』2基
203mm大型ビームサーベル『シュペール・リヒト・デーゲン』2丁
特殊装備 両腕強化型ビームシールド(腕部に装備)
専用ストライカーパーツ『ゼロ・ストライカー』
説明
第13独立機動艦隊の史上初の機動兵器にして機動兵器の礎を築いた名誉を持つ機動兵器であり、様々な新技術・新機構・新兵器のありとあらゆる改装と改良を行い、特に専用のストライカーパーツである『ゼロ・ストライカー』によって火力・機動力が大幅に向上しているため、史上初の機動兵器とは思えない程の高性能を持つ事になったが、その高性能故にコストがかなり高くしかも一般兵には扱えない代物のため、上層部は予備のパーツを数種類製造したの後、開発が終了してしまった悲劇の機体である。
だが、当時からの開発スタッフであるフレイ・ヴァルトフルス技術少佐の異常なまでの愛着心によって破棄は免れ、彼女自身たった一人の手によって着々と改装が行われており、新技術である強化型ビームシールドを始め、ミレニアムシリーズの新武装等の予備パーツを欠陥があるとして横領に近い形で保有・装着していったために、性能は並の機動兵器相手ならお茶の子さいさいと言う状態である。
ちなみに、武装の大半は旧日本軍に関係している単語をカタカナ読みにしている。例としては『テンライ』は『天雷』、『オウカ』は『桜花』、『ライデン』は『雷電』、『シデン』は『紫電』、『ゼロ』は『零戦』と言った感じである。
武装も一新しているため、それを操作するアビオニクス(電子機器)も最新のに更新され、操縦桿は従来のスティックレバー式からアームレイカー式に、登場当時は複雑だった火器統制システムも最新のコンピューターなどを用いたおかげで簡略化しつつより高性能と化したため、最早、この機体は別の機体と呼んで良いほどに手が加わっている。そのため、当初この機体は『ライトニング・ファントム』と呼ばれていたが、区別化を図るために彼女自身が『ライトニング・ガンダム』と命名したと言う経緯を持っている極めて稀な経歴を持つ機動兵器である。
フレイ
「ねえ、ライトニング。覚えている?初めてあなたと私が出会った時を。あの時があなたが一番輝いていた時代であったのに…今は、こうして格納庫の片隅でポツリといるしかないなんて…」
『ライトニング・ガンダム』に呟くかのように語るフレイ。それが無意識に出てきたため、彼女はフフッ、と乾いたまるで自虐するかのような笑みをこぼした。
フレイ
「せめて最後くらいは立派な華を添えたいね……」
そこまで言った直後、彼女自身に一つの案が浮かんだ。
フレイ
「そうだ…ウフフッ」
彼女は何か企んだ笑みを浮かべると、すぐに行動を引き起こした。
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